読み終わって心が休まる、温まるファンタジックなお話しで良かったが、東野圭吾らしくないといえばらしくない系統の作品だった。しかし、自分としてはこの系統で良かった。ストレスがたまるような作品は結構という感じ。
恵まれない境遇で育ち、就職先で不当な理由で解雇され、腹いせに元の職場に盗みに入って捕まり、立件される寸前に突然弁護士が現れ、「依頼人の命令に従うなら、釈放されるようにしてあげる」と提案されて、弁護人を信じてコイントスして従う。狐につままれるような展開の訳は育ての祖母に教えてもらえるが、依頼人の命令はクスノキの番人になること。守らねばならない色んな規則を教え込まれ、番人をしながら成長していく物語。依頼人は実は母の異母妹(叔母)だった。終盤で叔母の病気(初期のアルツハイマー)を知る。アルツハイマーというどんどん記憶を喪失していく恐怖にどう対処するのか?物語の本筋ではない部分に反応してしまった。大きなクスノキはどんなご利益があるのか?不思議な力で色々な救いが実る。