2011年8月5日金曜日

高村薫:「神の火」

1991年の作品。311原発事故を見て原発爆破を扱ったこの小説思い出し、読みました。
高村薫という作家の筆力、どこまで正確かは問いませんが、原子力発電所の内部構造に詳しいのに驚きます。
物語はスパイに仕立て上げられた元原子力発電の研究開発を行っていた技師、その幼友達、チェルノブイリの被爆者で日本に密入国してきたロシア人主人公をスパイに仕立て上げてきた影のロビィストたちを中心に進んでいく。被爆者のロシア人青年が、世界でもっとも安全といわれる日本の運転中の原発に進入してみたいという夢を抱きながら原爆症で死ぬ。その見果てぬ夢を人生に絶望した主人公とその幼友達が継いで、実行する。日本の原発侵入を阻止されて、安全を確認したいという夢を元原子力発電の研究者は周到な準備の下に打ち破り、破壊に導く。今だから現実性を持って読むことができるお話でした。

0 件のコメント:

コメントを投稿

吉田修一:「永遠(とは)と横道世之介」

 横道世之介シリーズの完結編であることはタイトルから想像がつく。これは新聞の連載で読んだものである。と言っても細切れで読んだわけではない。というのは私は新聞のデジタル版の購読者なので、こういう連載小説はHPのアーカイブスのようなところに全部保管されているのでまとめ読みが可能なので...