2011年11月11日金曜日

宮本輝:「森のなかの海」上

長編で今日、前篇を読み終えた。阪神大震災を舞台に描いた再生の物語。ここでいう再生とは、阪神という街の再生ではなく、そこに住んでいた主人公の女性が夫に裏切られたいた人生からの再生であり、震災で新たに生まれた親を失った子供たちの再生の物語でもある。謎を持つ老女の遺産を奇しくも引き継ぐことになったこの主人公が飛騨の森の中にその孤児となって社会から置き去りにされそうになってる子供たちと再生していく。「このままでは日本はダメになる」、「この国の指導者たち、親たちがこの国をダメにしていく」と著者は本の中で叫んでいる。あれから、あれから15年。東日本大震災を経験して、その思いはますます深まるように思える。

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