2014年6月15日日曜日
宮本輝:「水のかたち」(下)
図書館の本で長編を読むのは、それも人気ある本だった場合は尚更です。表題の本は上巻を読んだのが去年の12月、丁度6か月して後編が届きました。最初読み始めでは筋書きを忘れていて、一寸読み難かったのですが、だんだん記憶が繋がり出して問題なく読み終えました。上巻の感想通り、心持ちが穏やかになります。この物語に出てくるのは終始一貫善い人ばかりです。その人たちが眼に見えない糸に繋がれて、生きていくのです。特にこの主人公のご婦人は周りの空気を和ませ、暖かい気持ちにさせていくようで幸運がどんどん舞い降りてき始めるのです。作者が後書きで書いていましたが、現実に作者の身の周りで「善き人たちのつながりによって生じたとしか思えない幸福や幸運の連鎖」、そういう体験を実際に作者が眼にし、それを書いておこうと決意したと書いていました。それに加えて、30数年来のお知り合いの和泉喜久子さんを通して手縫いの小さなリュックを見せて頂く機会があってその父上の1946年終戦から1年後に今の北朝鮮、城津という町から決死の逃避行を試みて、38度線を越えて日本に帰国した後、それらの日々を綴った手記を読ませて頂いたのだそうです。自分たちだけでなく150人近くの日本人を共に助け、帰りつこうとした勇気と知恵と決断力、この実話をどうしても後世に伝えておきたいと考え、この「水のかたち」という小説の中に織り込んだのだそうです。作中の逃避行のお話はすべて真実であるということでした。巡り合ってよかった小説の1つでした。
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