2016年3月14日月曜日

中村文則:「教団X」

何かの書評で見付けて予約した本でしょう。手元に届くまで全く先入観なし。まずはその本のぶ厚さにビックリ。600ページを越える厚さ。とても2週間では読めないと観念して読み始めましたが、それが読めてしまいました。自分でもびっくり。読み始めて直ぐに、この教団Xは新興カルト宗教をモデルにしていると想像させます。何しろ性描写が多すぎてどんどん飛ばしていきます。元々の松尾正太郎という老人が主宰するアマチュアの宇宙観と人間観をミックスした話を聞く集団に属していたらしい沢渡というのがカルト集団を率いる男。この男の破滅に至る話が大きな流れになっているようだが、沢渡という男が松尾という老人からどんな影響を受け、どう変化して狂信的な集団を形成できたのか、何がそれほどのカリスマ性を人に影響与えていくのかそのプロセスがあまり説得力なく、壮大な破滅の道と現実を描くのに汲々として終わった感じが拭えなかった。タイトルからするとカルト集団の形成と破滅を徹底的に解析してあるのかと思ったが、そういう意味では期待外れ。だがこの作家の作品は色んな賞を得ていてアメリカでも一定の評価を得ているらしいが私にはよく分らない。

0 件のコメント:

コメントを投稿

吉田修一:「永遠(とは)と横道世之介」

 横道世之介シリーズの完結編であることはタイトルから想像がつく。これは新聞の連載で読んだものである。と言っても細切れで読んだわけではない。というのは私は新聞のデジタル版の購読者なので、こういう連載小説はHPのアーカイブスのようなところに全部保管されているのでまとめ読みが可能なので...