2018年4月19日木曜日
誉田哲也(ほんだてつや):「幸せの条件」
これは就職氷河期に「やっと拾ってもらった」感ある理化学実験用ガラス器械会社のOL瀬野梢恵が人生を生きることの意味を見つけるまでの格闘の物語である、と何やらドキュメンタリー番組のナレーター調で紹介したくなった。舞台は長野県飯山線飯山駅から軽トラで20分ぐらいの農業法人「アグモグ」、総農業に目覚めていく若きOLさんが主人公で1年を通して農業のあれこれを体験しつつ仕事や人と共に、自然と共に生きていくことの素晴らしさを体感していく。なぜそんな農村に出かけていく羽目になったのか?バイオエタノールを作るバイオ燃料製造装置を社長が試作し、そのテストのためにバイオエタノール用の米の生産農家を開拓する使命を与えられたからだ。そして2011年3月11日を迎えてしまう。そう、このお話はあの大津波と福島原発事故被害を体験して人々の意識がどう変わったのかを記録にとどめておく作業でもあったのではないだろうか?風化していきつつある現在、思い起こし、本当に原発は再稼働して良いものなのかどうか、忘れて良いこと、忘れてはならないことがあることを思い起こさせてくれるお話でもあった。テニス仲間で読書好きのOさんが紹介してくれた本、読みやすいのであっという間に読み終えた。
2018年4月7日土曜日
磯田道史(いそだみちふみ):無私の日本人
江戸時代、日本にいたという眼前にある物事を貫き通した三人の無名ともいえる日本人の生き様を紹介している。著者は武士の家計簿(映画で有名になった?)を書いた人。
●穀田屋十三郎
奥州街道、ご城下からは6つ目の一里塚のある吉岡宿は戸数200あまりの小さな集落で、貧困に喘いでいて戸数も減る一方。その疲弊から住民を救おうと立ち上がったのが主人公、穀田屋十三郎(造り酒屋の婿養子)と集落きっての智慧者菅原屋篤平治(茶葉を生産し、京に売りさばいてマアマアの資産家)。
この話は「殿、利息でござる」に映画化されたとのこと。その映画のことも知らなかった。
●中根東里
儒者。詩文の才に恵まれ、黄檗山萬福寺で唐音(中国語)を学ぶ。当時徳川の世で荻生徂徠が柳沢吉保の元で権勢を振るっていた時代。一時、その該博な知識を活かしたいと加賀藩にも招かれて逗留したことがあったらしいが何しろ仕官する気がないのだから居ても仕方がない。2年余りで去ったようだ。生涯、市井の教養人として村や町の子供らを教えて最小限衣食を賄えれば良いという生活を貫き通した。
●大田垣蓮月
京都で武士と遊女の間に生まれたという不幸な生い立ちを経てはいたが、知恩院の寺守りとなる育ての親の元でその美貌と育んだ才気で頭角をあらわすが、その美貌がまた不幸を呼ぶというめぐり合わせが出家への願望につながって行く。出生の切っ掛けは京都の史上最大規模の大火、天明8年の大火の復興工事で伊賀上野から普請工事で上京してきた武家、藤堂金七郎と言われるが不詳。この大火には晩年の若冲も罹災している。聖護院あたりを好んで住処としたらしく、京大の構内には沢山の住居遺構が出ているという。その遺構からは沢山の焼き物の欠片が出土するという。いわゆる連月焼という陶器だ。その他、和歌なども良くし、晩年は山岡鉄舟が私淑して使い走りまでして助けたという。
●穀田屋十三郎
奥州街道、ご城下からは6つ目の一里塚のある吉岡宿は戸数200あまりの小さな集落で、貧困に喘いでいて戸数も減る一方。その疲弊から住民を救おうと立ち上がったのが主人公、穀田屋十三郎(造り酒屋の婿養子)と集落きっての智慧者菅原屋篤平治(茶葉を生産し、京に売りさばいてマアマアの資産家)。
この話は「殿、利息でござる」に映画化されたとのこと。その映画のことも知らなかった。
●中根東里
儒者。詩文の才に恵まれ、黄檗山萬福寺で唐音(中国語)を学ぶ。当時徳川の世で荻生徂徠が柳沢吉保の元で権勢を振るっていた時代。一時、その該博な知識を活かしたいと加賀藩にも招かれて逗留したことがあったらしいが何しろ仕官する気がないのだから居ても仕方がない。2年余りで去ったようだ。生涯、市井の教養人として村や町の子供らを教えて最小限衣食を賄えれば良いという生活を貫き通した。
●大田垣蓮月
京都で武士と遊女の間に生まれたという不幸な生い立ちを経てはいたが、知恩院の寺守りとなる育ての親の元でその美貌と育んだ才気で頭角をあらわすが、その美貌がまた不幸を呼ぶというめぐり合わせが出家への願望につながって行く。出生の切っ掛けは京都の史上最大規模の大火、天明8年の大火の復興工事で伊賀上野から普請工事で上京してきた武家、藤堂金七郎と言われるが不詳。この大火には晩年の若冲も罹災している。聖護院あたりを好んで住処としたらしく、京大の構内には沢山の住居遺構が出ているという。その遺構からは沢山の焼き物の欠片が出土するという。いわゆる連月焼という陶器だ。その他、和歌なども良くし、晩年は山岡鉄舟が私淑して使い走りまでして助けたという。
2018年4月3日火曜日
五反田のサクラ
年に2回、通ってきた五反田。この地にある病院に5年通った。この日の検査でようやく経過観察が終了し、無罪放免となった。今後は通常の検診レベルで良いのではないでしょうか、との診立てだった。何となくそんな予感がして、今回はスケッチブックを持って出掛けたのだ。それは病院から1kmほど歩いたところにある明治学院大学のキャンバスがあり予てから1枚描いてみようと狙っていたのだ。診察が終わって15時50分、夕方の少し赤っぽい光の中で1時間半ほど掛けてSM版の小さな絵を1枚大体描き上げた。あと少し細かいところを仕上げないといけないが・・・記念になる。
一寸写真を撮った位置と違うベンチのところから描きました。久し振りのスケッチでした。
一寸写真を撮った位置と違うベンチのところから描きました。久し振りのスケッチでした。
2018年4月2日月曜日
朝倉かすみ:「肝、焼ける」
こういうたぐいの小説は滅多に読まない。図書館の本が途絶えて夜眠る前に手に取る本がないと眠れない時に困るのでいつも手許に読める本をおいておくのが習慣になっている。という訳で今回図書館で手に取ったのがこの本。若い女性の、それも同じ年頃の友人たちが次々結婚していく中で、自分も決して結婚願望がない訳じゃないのに何故か取り残されている自分をもうひとりの自分が眺めて心の内をそっと覗く。タイトル以外に「一番下の妹」、「春季カタル」、「コマドリさんのこと」、「一入」。
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吉田修一:「永遠(とは)と横道世之介」
横道世之介シリーズの完結編であることはタイトルから想像がつく。これは新聞の連載で読んだものである。と言っても細切れで読んだわけではない。というのは私は新聞のデジタル版の購読者なので、こういう連載小説はHPのアーカイブスのようなところに全部保管されているのでまとめ読みが可能なので...
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2017年の夏、水をやり過ぎたのかみるみる萎れていった鉢。どうなることかと元気そうな株以外は全部、泣く泣く外して生き永らえた。相模原に引っ越して気長に付き合ってきた甲斐があって去年夏ごろから生気が帰ってきていた。水溶液の肥料などをやりながら時に日光浴させてきたら3年振りに開花した...
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この日もぽかぽか陽気の暖かな日だった。 多摩モノレールで立川の1つ手前、「柴崎体育館前」で下車して高架から下に降りると、もうそこが根川親水公園だった。湧水が作り出す小川を整備して遊歩道に仕立ててくれている。絶好のスケッチポイントだった。驚いたことに大通りのすぐ脇の高木にアオサギ...
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NHKカルチャーセンター主催の水彩画講座(2時間*3回)の第一回を受講しました。これまで無料のZOOMアプリを使って家族やNPOのリモート会議を何回か体験してきました。また、NPOで開催しているシルバーの人たちに向けてZOOM会議の受講の仕方、主催の仕方などの講義をしてきました...