2007年2月26日月曜日

映画:「善き人のためのソナタ」

設定は、1989年のベルリンの壁崩壊を目前にする1984年の東ベルリン。

腐敗の進む共産党独裁体制のもと、ゲシュタポを連想させるような秘密警察で体制維持を図ろうとしている。リベラル思想を抱き、西側との接触も多い演劇人を監視する役割に任ぜられた主人公が設えた盗聴器を使って四十六時中監視を続けるうちに、次第に演劇人の生き方、考え方に共鳴していく。

ある日監視しているアパートに忍び込み・・・・、そしてある夜聞いた、「ソナタ」で確信に変わる。
レーニンが言ったとか、「ベートーベンの熱情を聞いたら、体制を続ける気持ちが薄れる。聞かすな!」という象徴的なセリフに裏打ちされて、善き人のためのソナタが物語を進めていく。

本年度アカデミー賞外国語賞受賞作。この映画もミニシアター系でしか上映されなかった。今後は判らないが、勿体ない話だ。このような映画で興行的にも成功を収められないと判断する側に問題があるのか、そういう現状なのか、判断に苦しむ。このブログを読んだ人にはぜひお薦めしたい映画の1つだ。

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