2009年9月12日土曜日
浅田次郎:「鉄道員」
8編からなる短編集。冒頭の一編があの映画にもなった「鉄道員(ぽっぽや)」であった。しかし、読後感として1番ホッととさせてくれたのは最後の「オリオン座からの招待状」だった。壊れかけた、だけど本当は繋がっていたかった中年夫婦に昔育った西陣の古い映画館から閉館記念の映画会の招待状が届く。そこからじわじわとほどけていくしこり。過去と現在を結ぶ確かなしかし形のない思い出・・・。シネマパラダイスを思い出すような佳作といえるのではないだろうか?解説で北上次郎がこれらの短編のどれが良かったかを話し合うと、仲間内では「鉄道員」派、「ラブレター」派、「角筈にて」派、と「うらぼんえ」派に分かれるという。強いて言えば自分は「角筈にて」派だなとは思うが、やはり「オリオン座からの招待状」派ということにしておきたい。浅田次郎のあとがきではこれらの短編集は「蒼穹の昴」を書き上げた直ぐ後に、心のバランスを取り戻すように一気に書き上げたもののようで、そのエネルギーも凄いが、人生の色んなものを溜め込んできて、良い具合に醗酵させて吐き出したような充実感が文章に漂っているようで良かった。これまであまりに流行作家的で手にするのに抵抗を感じていた作家だったがじっくり付き合ってみようと思う。
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