梁 石日の少年期から青年期頃までの自伝と思われる。
自分の育ったK市にも朝鮮部落というのはありました。子供の自分にはいささか遠い距離にその部落はありました。中学に入学するとその学校まで自宅から30分以上かかり、近道を教えられて通ると川を上流に遡っていくのですが、その対岸に朝鮮部落がありました。近づくには汚く、怖いイメージのところでした。おそれ以上でもそれ以下でもありませんでした。ずっと対岸にある近づいてはいけない領域でした。梁 石日の生まれ育った場所もまさに日本人から見るとそんな場所でした。そこで何が起こり、何が語られていたのか、推し量ることのできない世界を誤解を恐れず、リアルにあるいは誇張を交えて赤裸々に語っていました。こんな環境からでも梁氏のような作家が生まれるのだということが私には奇跡以外の何ものでもないのではないかと思いました。凄まじい家庭での葛藤の毎日を送りながら、読書家であり続け、そこがバランスの取り場所だったのかもしれませんね。そして、北朝鮮への帰国運動の熱気やそれの起こった背景などを少し知ることができたように思いました。韓国出身の人々もが競って北朝鮮に帰ることを望んで帰国船に乗り込んだ様子が伝わってきました。
2012年3月11日日曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
吉田修一:「永遠(とは)と横道世之介」
横道世之介シリーズの完結編であることはタイトルから想像がつく。これは新聞の連載で読んだものである。と言っても細切れで読んだわけではない。というのは私は新聞のデジタル版の購読者なので、こういう連載小説はHPのアーカイブスのようなところに全部保管されているのでまとめ読みが可能なので...
-
2017年の夏、水をやり過ぎたのかみるみる萎れていった鉢。どうなることかと元気そうな株以外は全部、泣く泣く外して生き永らえた。相模原に引っ越して気長に付き合ってきた甲斐があって去年夏ごろから生気が帰ってきていた。水溶液の肥料などをやりながら時に日光浴させてきたら3年振りに開花した...
-
この日もぽかぽか陽気の暖かな日だった。 多摩モノレールで立川の1つ手前、「柴崎体育館前」で下車して高架から下に降りると、もうそこが根川親水公園だった。湧水が作り出す小川を整備して遊歩道に仕立ててくれている。絶好のスケッチポイントだった。驚いたことに大通りのすぐ脇の高木にアオサギ...
-
NHKカルチャーセンター主催の水彩画講座(2時間*3回)の第一回を受講しました。これまで無料のZOOMアプリを使って家族やNPOのリモート会議を何回か体験してきました。また、NPOで開催しているシルバーの人たちに向けてZOOM会議の受講の仕方、主催の仕方などの講義をしてきました...
0 件のコメント:
コメントを投稿