2012年3月24日土曜日
佐々木譲;「笑う警官」
報道によれば、千葉県警で職員の慰安旅行のために「ストーカー被害の届け出の受理を拒否した」可能性が指摘された。もし、受理し即、行動に入れば2人の殺害は防止できたかもしれない・・・・というような印象を受ける報道がありました。生活安全課という職場で起きたことだそうです。前に読んだ「警察庁から来た男」の舞台がまさにこの生活安全課でした。警察という組織は犯罪から市民を守る、また法律に反する犯罪を摘発し、予防もしてもらう組織ですが、その組織が自分の組織を舞台に繰り広げられる組織ぐるみの犯罪に対しては誰も手を出せないわけです。内部監察を行う憲兵的な組織が有効に機能しないと大変なことが起こるかもしれない。そうした観点から佐々木譲の北海道警察本部を舞台にした内部の恥部を告発するというスタンスの一連のシリーズものです。一般でもそうですが、組織内にいる人間が自分の所属する組織を外部に告発するというのは大変勇気のあることです。警察という組織では犯罪者が自白することを「うたう」というのだそうですが、警官自身が内部告発することも「うたう」というらしいのです。今回の小説はスウェーデンにある有名な警察ものの「マルティン・ベックシリーズのような本を書いてみませんか。」と言われて書いた本とのことで、マルティン・ベックシリーズに敬意を表して、シリーズの中の有名な1冊である「笑う警官」に似せた題名の「うたう警官」としたとのことです。そのうちに読んでみたい本の中に記録させてもらいました。
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