2012年12月20日木曜日
角田光代:「8日目の蝉」
第2回中央公論文芸賞受賞作で近年映画にもなった作品を読み終わりました。恋を実らせるために彼の求めに応じて妊娠中絶し、挙句の果てに彼は別の女性と結婚し、おまけに自分は二度と子供の産めない体になり、絶望的になった若い女性が、元彼が結婚して産まれた乳児を(そうするつもりはなかったのですが)誘拐してしまう。そして逃げて逃げまくり小豆島で束の間の幸せを味わう。こうした究極の条件設定の中で女性作家にしか描けない女性心理をきめ細かに描いた作品でした。誘拐させられた女の子が成人してからも続く心の葛藤(どうして自分が人生を狂わされて迷路のような人生を歩まなければならないのか?)と闘い、誘拐した女性がその後、自分の犯した罪に苦しみ、尚且つ、誘拐した子供との3年弱の生活を愛おしく思い、あの子供の行く末に対する贖罪の気持ちと捨てきれぬ愛情抱いて、小豆島を目の前にして立ちすくんで過ごす日々。心揺さぶるラストの章が冴えていました。女性作家でなければ描けない秀作だと思いました。
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吉田修一:「永遠(とは)と横道世之介」
横道世之介シリーズの完結編であることはタイトルから想像がつく。これは新聞の連載で読んだものである。と言っても細切れで読んだわけではない。というのは私は新聞のデジタル版の購読者なので、こういう連載小説はHPのアーカイブスのようなところに全部保管されているのでまとめ読みが可能なので...
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2017年の夏、水をやり過ぎたのかみるみる萎れていった鉢。どうなることかと元気そうな株以外は全部、泣く泣く外して生き永らえた。相模原に引っ越して気長に付き合ってきた甲斐があって去年夏ごろから生気が帰ってきていた。水溶液の肥料などをやりながら時に日光浴させてきたら3年振りに開花した...
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この日もぽかぽか陽気の暖かな日だった。 多摩モノレールで立川の1つ手前、「柴崎体育館前」で下車して高架から下に降りると、もうそこが根川親水公園だった。湧水が作り出す小川を整備して遊歩道に仕立ててくれている。絶好のスケッチポイントだった。驚いたことに大通りのすぐ脇の高木にアオサギ...
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NHKカルチャーセンター主催の水彩画講座(2時間*3回)の第一回を受講しました。これまで無料のZOOMアプリを使って家族やNPOのリモート会議を何回か体験してきました。また、NPOで開催しているシルバーの人たちに向けてZOOM会議の受講の仕方、主催の仕方などの講義をしてきました...
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