宮本輝の魅力的な父親の一代記的長編。第5部を読んでから2年ぐらい経っているような気がします。粗筋さえ朧になっていて読みながら手掛かりをひきだしながら読み進めていく始末でした。この主人公、松坂熊吾は愛媛県南宇和郡一本松の出身でその方言で語らせる言葉が活きていて更に魅力的に見えます。熊吾の波乱万丈振りは結婚してからの転居の激しさからも読み取れます。50歳で伸仁という息子を得て、一人前に育てるまで頑張ろうと張り切るが、時代の変化の激しさに時に翻弄され、転々とする。神戸の御影から南宇和へ、南宇和から大阪市北区中之島の西端へ、そこから富山へ、富山からまた大阪の中之島へ、その間伸仁は尼崎の蘭月ビルへ、そして今は大阪市福島区にと転居を繰り返してる。その転居は事業の成功失敗と連動している。も矢本輝の代表作である「蛍川」はその富山の時代のことを書いたと判るし、「泥の河」の舞台が最初の大阪時代ということも分かって興味深かった。今回の舞台となっている大阪市福島区は奇しくも時運が1993年ごろの大作勤務時代、大阪支店が福島区の鷺洲にあったことから何かと街の様子が思い出されて興味深かった。最初の構想からするともう1回、最終巻が上梓されるはず。読者の勝手な言い分ですが早く出してほしいところです。(どんどん忘れていってしまうので困るのです)
2013年3月31日日曜日
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