2016年6月1日水曜日

立川談春:「赤めだか」

2011年11月21日、談志亡くなって立川流という家元制度は表向き消滅した。真打への昇進が情実的で、実力とは関係なく決められることに反発して談志は立川流を設立した。談志の2つ目への昇進の条件はネタを50以上覚えること、鳴り物を一通り打てること、歌舞音曲を一通りおさらいすること、講談の修羅場を話せること・・・落語家としての一般教養課程ということだろうか?そして弟子は多い。談志に憧れて入門してくる。談春も高校2年で中退し、17歳で入門する。この本は談春の自叙伝的であり、それを通して談志の生き様を活写していることで評判になった。表題の「赤めだか」とは、談志が買っていた金魚のことだ。餌もちゃんとやっているはずなのにいつまでも大きくならない、ことから前座仲間で「赤めだか」と呼んでいたらしい。談春の入門から真打に昇進するまでの間の談志との関わりあい、前座仲間との交流、志らくという弟弟子との格闘などを織り交ぜたほろ苦くもある青春物語である。「包丁」、「除夜の雪」など聞いたことのない話を今度聞いてみたいと思った。

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