2018年6月19日火曜日
砂原浩太郎:「いのちがけ」
副題が「加賀百万石の礎」とあるのが内容をすべて言い表している。生まれ育った故国なのでその加賀藩を誕生させた前田利家の生涯を村井長頼という臣従の視点で描いたという着眼点が面白いと思って読んだ。ストーリーは信長-秀吉-家康という時代の本流に沿って生きた武将前田利家を中心にするので歴史的には周知の事象ばかり、そこをトピックス的に描いていく筆の運び方も十分で、物語はあくまで利家を見る長頼の心、交流が優しい。終盤で利家亡き後2代目のどこか頼りなげに見えた前田利長が今流にいえば「前田家ファースト」で家康のあわよくば取り潰してしまおうとする罠を潜り抜ける手立てを長頼に求めるあたりでぐっと引き締まった。こちらを中心にしたほうがもっと面白かったのにとまで思った。戦国を生き抜き、100万石の大大名としての地位を守り抜いた知恵の一端を知り得たような気もする。読んでいて文章力の確かさにも感心した。余談だが、ネット情報によればNHKの大河ドラマ「利家とまつ ~ 加賀百万石物語」では、的場浩司さんが村井長頼の役を演じていた、とあった。断片的に見たドラマだったが記憶にはほとんどない。
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