2018年6月11日月曜日
山本一力:「つばき」
この流行作家もあまり手にしてきていない。余りに流行作家になると読む意欲が削がれるのはどうしてだろう?なんだか粗製乱造しているような気がしてならないからかもしれない。本作は江戸の一膳飯屋「だいこん」を若くして立ち上げたうら若い女主人公、つばきの学び成長していく物語だ。義理人情に厚い深川を舞台にしている。今の感覚からすると浅草と深川はそんなに離れていないような気がするのだが気質からして違うと描かれている。前作に「大根]があり、今作品の後に「花だいこん」があるようだ。「程々の儲けを載せて長く商いを続けていくことがお客さんにも従業員にも大切」と商売の基本が説かれ、また、定信が発した寛政の改革「棄捐令」により江戸の札差109人の総額118万両の貸金棒引きの令が出される。この物語によると当時の武家の禄米を担保にした金の融通をしていたが、その利息が年1割8分だったという。とんでもない高利だったのだ。現在の消費者金利はどうなっているか?法律によれば10万円以下では年利20%、100万円以下では年利18%、それ以上では15%が上限となっていて、それを越えると行政処分、20%以上は出資法違反の刑事罰が課されることになっている。どうやら寛永の頃の武家たちは現代でいう消費者金融に頼った金銭で生活をしていたということのようだ。どんどん流通経済化が進み禄米だけでは生活を維持できなくなってきていたのだ。しかし、作者はこの物語で節約社会(緊縮財政)は世の中の不景気を招くだけとの警告もしているよう。これも現代に通じる考えさせられるテーマだった。
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吉田修一:「永遠(とは)と横道世之介」
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