2010年3月14日日曜日

塩野七生:「ローマ人の物語」その3

ローマ皇帝がパクスロマーナ(ローマの平和)実現のために実行したことは何だったか?
・最小限の軍隊の効果的な配置
・道路網の整備(迅速な移動を可能にするインフラ)
・上下水道の完備(公衆衛生の確保)、娯楽施設(大浴場と競技場)の整備
・貧しい人々への食料の無償配布(セーフティネット)

特に、道路網の整備は凄い。「全ての道はローマに通ず」という言葉はローマという都市がローマ帝国の中心だということを単に意味するのではなく、帝国内のあらゆる地域が高速道路でネットワーク化されているということを意味している。人や物資の移動が容易だということだけではなく、道路を通して辺境の情報も数日を経ずしてローマにまで伝わる情報インフラでもあったのだ。逆にローマからの情報も同じようにローマから辺境にあっという間に伝わる。かくしてあの古代に広大な帝国が僅かな人数のローマ人たちによって統治されていたのだ。今の常識でイタリア人が統治した、とはとても書けない。古代のローマ人はきっとどこかで変質して今のイタリア人になったのではないかと思ってしまう。今のイタリア人を侮辱したことになるのかも・・・、これはこの現代に生きる我々に真似ができるか、できないのではないかということを言いたかったのである。真似ぐらいできて欲しい。いや、当然あれからほとんど2000年過ぎて進歩した我々なのだから当然、当時のローマ人を凌ぐ哲学と合理的に解決案を作り出すシステムを持っているべきではないか!ダーウィンの進化論から言えばどんな解釈があるのだろうか?

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