2013年2月24日日曜日

常盤新平:「明日の友を数えれば」

常盤さんは1931年生まれ。今日この時点では82歳位でしょうか。そんなに売れた作家ではないのですが、またそのことがこの人に良い年の取り方をさせたような気もします。(生意気な言い方ですね。ゴメンナサイ)2003年ごろから2011年にかけて書いたエッセイ類をまとめた1冊でした。特に2007年頃からの想い出を取り混ぜた作品群はしみじみした老人の感慨をにじませていて、読んでいて共感を覚えたりした。古本屋を訪ね歩き、疲れたら喫茶店でコーヒーを楽しむ。結構お酒も好きで、小さな小さな、主が一人だったり、老ご夫婦だったりするそんなはやらない、町裏の隠れたお店をこよなく愛している。こんな生活に憧れますね。我が街にもこんなお店、あるのかなぁ?

いつか読んでみたい作品群・・・「恋貧乏」、「片隅の人たち」、「親父橋の町」、「わさびの花」、「雨あがりの町」、「そうではあるけれど、上を向いて」、「おとなの流儀」などなど・・・

2013年2月18日月曜日

仕事を完全に止めました

4年前にSOHO(Single Office Home Office)を精算した後もクライアントからの依頼で個人事業主として仕事をしてきましたが、このほど完全に身を引かせて頂きました。定例の仕事日などをカレンダーから消し去り、きれいさっぱり予定の入っていないカレンダーを眺めて、何だか清々しい気分が気持ちの中に広がってきました。1999年6月に会社を定年退職して以来ずーと続いていた仕事人間的な絆をきれいさっぱり切り落とした感じです。最近のブログは専ら読書がらみばかりですが、今後は益々趣味や遊びの話になりそうです。ワイトの中身も見直さないといけなくなりました。まぁ、記念碑として残しておくのも悪くはないかもしれませんけど。仕事の面では、色んな方々に助けて頂き感謝しています。この場を借りてお礼を申し上げます。

2013年2月13日水曜日

加島祥造:ほっとする老子のことば

老子の思想をわかりやすく伝えようと、もともと詩人であり、水墨画でも有名な加島という人が努力してくれています。1923年生まれ。私よりも11歳も上だ。

言い伝えによれば、老子は紀元前5世紀頃、楚の国にあった人で、生没年は不詳。しかし、彼が残した様々な言葉には、2500年という膨大な時の隔たりを超えて、加島祥造の手を借りて、私たちに何かを届けてくれようとしています。
大器晩成、上善如水、天網恢恢疎而不漏などの言葉はみな老子の言葉だそうです。しかしそうした切り口とは全く違うことを加島祥造は紹介してくれています。それは道徳編にある言葉らしいのです。

まず名のない領域があった。
そこから天と地が生まれた。
天と地の間から
数知れぬ名前が生まれた。
だから天と地は
名のある万物の母なのだ。

この働きを仮に
道(タオ)と名づけるんだ。

ところで
名のあるものには欲がくっつく。
欲がくっつけば、物の表面しか見えない。
無欲になって初めて真のリアリティが見えてくるんだよ。

取っ付きはやはり難解です。キリストの天地創造のようなこの出だしの後は、だんだんわかりやすい話が出てきました。
物はすべて片方だけでは存在しない・・・美と醜、善と悪、優と劣、有と無、高いと低い、などなど、老子は人の中にある陰と陽の働きを先ずしっかりと理解させる。体内にある頭と腹、知性と感情、心と肉体のほか限りなく多様な陰と陽の働きがある。その現実を示した後、そのふたつを調和するにはタオの働きが必要だ。そこに目を向けよ、と説いているのだそうです。簡単にはわかりません。要は自分の中にバランスを見出すことはとても気持ちの安定に役立つようだと加島さんは言っています。

兎に角この本は老子の思想を加島流にアレンジして示してくれていますが、所詮図書館で借りてきて読む本ではありません。座右に置いて時に味わい、深く吟味していくときに何か心に得心が行き渡るようなそんな本でした。加島さんには何冊か類似の書を出しているようです。どれか1冊手元に置いて置きたくなりました。

2013年2月11日月曜日

マリス・ヤンソンス;バイエルン放送管弦楽団

去年の11月に放映されたベートーベン交響曲連続演奏会の録画を今日は久し振りに堪能できた。今日は交響曲3番と4番を続けて聴いた。サントリーホールでマリス・ヤンソンス指揮。画面で見る限り、正に脂の乗り切った指揮者により楽団員も自分の力量を楽しんでいるような素晴らしい雰囲気で演奏していた。好演でした。

イチロー240日の戦い

朝のテレビに珍しく見入ってしまいました。イチローには求道者の姿を感じます。顔つきもそうですが、話す言葉が哲学的です。10年間ほとんど最下位を低迷していたマリナーズからヤンキースに電撃移籍した前後からヤンキースの優勝に貢献した昨シーズンを振り返る番組でした。その番組の最後に、記者の質問に答えて、「自分はいま野球人生の死に向かって確実に近付いている。その時を笑って迎えることができれば良い」と。(笑って迎えられるように全力を尽くすという意味と理解しました。)凄い生き方をしていますね。

2013年2月4日月曜日

映画:「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」

映画は本当にたまにしか観なくなりましたが、久し振りに渋谷に足を運びました。
タイトルとキャッチコピーに惹かれたからです。曰く、老境のさまざまな境遇の人たち7人がインドに旅立つ。「?人生の岐路に立つ者の背中を押してくれる希望に満ちた一作だ。」とキャッチコピーにありました。

評論の中の1節から引用すると-序盤、各々の日常の中で老後に備える彼らの姿が映し出される。そこでふと響くエキゾチックな音色。「麗しきマリーゴールド・ホテルで、快適な滞在を!」。この文句に誘われて彼らは一様にインドを想う。決断する。足を踏み出す。そうして彼ら全員がついに空港ロビーでワンフレーム内にて会するや、化学変化に満ちた素っ頓狂な冒険の日々が幕を開けることに。

ようやく辿り着いたのは倒壊寸前の古ホテル……でも彼らは決して挫けない! <a href="http://eiga.com/person/41675/">ジョン・マッデン</a>監督は卓越した采配で7人の男女を終始ユーモラスに引き立て、愛を乞う人、悩める人、怒れる人それぞれに絶妙なる見せ場を与えていく。異国での自分探しをテーマにした映画は数多い。けれど我々が本作に強く惹かれるのは、これほどの名優たちがある種の無邪気さと、また人間としての尊厳とを同じ身体に湛えながら、インド時間に合わせゆっくりと前に進んで行こうとする姿に胸打たれるからに違いない。

中の上の出来でしょうか?満員の劇場で映画を見るのは久し振りの事でした。

2013年2月3日日曜日

花田清輝:「箱の話」

この人の名前は聞いたことがあるがおよそ縁遠い。どこで聞いたかも定かではない。

今度「箱の話」という風変わりな本を手にするきっかけになったのは、やはり長谷川等伯でした。等伯の関連でこの人がその辺りのことを書いていると何かで読んで図書館に申し込みました。作家、特に劇作家として相当に有名らしい。現代劇にとんと関心がないので全く知りませんでしたが恐ろしく自信に満ちた評論家であり相当な博学の人ではあるようですが、あまり好きなタイプとは言えないようです。この室町期の古典も相当数読みこなしてる知識人ですね。当時はやった「洛中洛外図」なる流行の画題について書いていました。評論家として一つの視座を持っている強みは判りますがそれがあまり強すぎると、ならば自分で書けば?と言いたくなるのは小人の僻みでしょうか?

吉田修一:「永遠(とは)と横道世之介」

 横道世之介シリーズの完結編であることはタイトルから想像がつく。これは新聞の連載で読んだものである。と言っても細切れで読んだわけではない。というのは私は新聞のデジタル版の購読者なので、こういう連載小説はHPのアーカイブスのようなところに全部保管されているのでまとめ読みが可能なので...