2013年9月16日月曜日

荻原 浩:「僕たちの戦争」

荻原 浩の2冊目。昭和19年と平成13年9月11日(あのニューヨーク世界貿易センタービルへの航空機突入の日に2人の青年が何かに巻き込まれてスワップする。過去と未来へのタイムトリップしてしまう。昭和19年の若者の目に映る21世紀の風物、言葉使いの違いが新鮮。そんなに遠くに今自分たちがいることを思い知らされます。おぼろげながら戦争中の時代の貧しさ、高空を飛ぶB29を銀色に輝く機体をきれいだと思った感覚、サツマイモのしっぽを蒸かして筋だらけの所をしゃぶった感覚とこの21世紀の飽食の時代の両方を知っている世代、それでも今の全日本人口の25%位がその両方を知っています。そのうちのまた半分ぐらいの人たちは今度、2度目のオリンピックをも体験することになるのです。(脱線しました)既視感を覚えながら門語りを読みました。どうやって戻すのか、歴史との折り合いをどうつけるのか、ストーリーテラーの腕の見せ所でした。フリーターでサーファーの現代青年と、中学から予科練を経て霞ヶ浦航空隊に所属している飛行機乗りの卵が様々な体験をしながら敗戦の8月15日に向かって進んでいきました。現代のサーファーは人間魚雷「回天」にのって沖縄へ。19歳の飛行士の卵は苦労してサーフィンをものにし、もちろん無免許でしょうが車を運転し、目まぐるしい社会で、サーファーの残していった恋人と沖縄に旅行に出掛け、クロスする。運命の糸にひかれるように・・・

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