2014年2月19日水曜日

三浦しをん:「舟を編む」

先ごろ映画化されていた本屋さん大賞にも選ばれた作品。辞書編纂という知らなかった世界、辞書編集という気の遠くなるような息の長い世界を垣間見せてくれました。そう考えると、自分の生きてきた間に新刊の辞書というものにお目にかかったことはあったのだろうか?こういう部門では大半の時間は既刊本の改訂のための作業が中心なのでしょうか?現役時代に、一度も新刊に携わることなく定年になってしまう・・・担当する人たちの気持ちを考えるとどう表現して良いかわからない。
本作の主人公は、まるで辞書編纂のために生まれてきたようなその名も「馬締(まじめ)」さん。でも幸いなことに新たに本格的な辞書編纂という大事業のために社内でスカウトされ、見事「大渡海」という辞書を刊行するまでの物語でした。言葉の海を渡る羅針盤?海図?辞書の名前に込めた編纂者たちの願い、それを実現するための労苦。しかし、それを決して深刻ぶるわけでなくユーモアを交えて話を運んでいく著者の筆力、構想力は十分意図通り、伝わってきてあっという間に読み切りました。

0 件のコメント:

コメントを投稿

吉田修一:「永遠(とは)と横道世之介」

 横道世之介シリーズの完結編であることはタイトルから想像がつく。これは新聞の連載で読んだものである。と言っても細切れで読んだわけではない。というのは私は新聞のデジタル版の購読者なので、こういう連載小説はHPのアーカイブスのようなところに全部保管されているのでまとめ読みが可能なので...