2014年3月18日火曜日

姜尚中:「心」

確かこの方の息子さんが心の病で自ら命を絶ったとか・・・図書館から予約の知らせで若干、重い心を引きずりながら本を手にしました。ある若者との人生相談のようなメールをやり取りする形でお話は進みました。昔青春時代にはあの頃、通過義務のように感じて読んだ三木清の『人生論ノート」を思い出すなぁと何が書いてあったのかは全く思い出せないままでしたがそう感じながら読み進みました。3.11でその若者は趣味で取ったライフ・セービング(救命士)の資格を生かして、海底から死者を引き上げるボランティアを引き受けます。若者が突き付けてきた「生」、「死」の意味をどう見出していくべきかが語られていました。その中から。
「死の中にはその人の人生の『記憶』があり、その人の『過去』がある。何者によっても否定できない故人の過去こそが死者に永遠の時間を与える。
人の「死」によってその人の「生」が輝きを増す。
同じことを繰り返し表現を変えて書いているところが印象に残りました。
この本を読んでいる最中にその3.11からちょうど3年目のその時を迎えるという偶然も体験しました。直接の死者・行方不明者18,534人、その後の関連死2,688人という。改めてそれらの方々のご冥福を祈らずにはいられません。

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