2015年7月10日金曜日

三浦しをん:「まほろ駅前番外地」

東京の郊外、某町田市を舞台にした多田便利軒シリーズ。先頃映画で見たその後の多田便利軒に舞い込む仕事シリーズだ。経営している多田と転がり込んできた居候的な相棒の同級生でもある行天君とが請け負う便利屋のお仕事から見えてくる街の人々の哀歓とそれに向き合う2人が抱えるトラウマが微妙に交差して物語になっている。どうして行天君を居候的にしろ共同で仕事をしているかというと、多田は小学校時代に誤って行天君の指を切り、その指が危うく繋がって・・・という事故を起こし傷を負わせたことが負い目になっている。また、結婚して授かった子供(これも自分の子供かどうかわからない、奥さんは不倫中でもあったらしい?)を2歳にも満たないところで看病中に居眠りしてしまうという不注意で失くしてしまい、喪失感の中で離婚中。行天君自身も何かトラウマを抱えているらしい。それらが便利屋さんに持ち込まれるお仕事をやる上で色んな影を投射する。そしてほろりとさせる解決に至る、新「寅さん」版のように続くのかもしれない。

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