2016年8月13日土曜日

山崎豊子:「沈まぬ太陽」アフリカ編

今回はこの人の小説はそういえばあまり読んでないなぁと思い手にしたのだった。「華麗なる一族」や「白い巨塔」にしろ、「2つの祖国」にしろ、みんなテレビドラマで見ただけだったから。読み始めるとこの「沈まぬ太陽」は何と、日本航空をモデルにした当時の組合活動や組合つぶしといった生臭い題材を扱っているのだった。この物語の主人公、恩地 元にはモデルの小倉勘太郎という人がいるらしい(もう故人となられた)。折しも8月12日は日航ジャンボ機の御巣鷹山墜落事故の日だという。1985年(昭和60年)8月12日月曜日18時56分、東京(羽田)発大阪(伊丹)行日本航空の定期123便ボーイング747SR-100(ジャンボジェット機)が御巣鷹山に激突し、520人の方が亡くなられた。この日、丁度アフリカのナイロビに航空路線が行ってないのにオフラインの事務所を開設せよとの命で着任するところを読んでいた。前任の委員長は無理やり恩地に委員長を押し付けて自分はさっさと労務課長に就任し、恩地に対し会社側と適当に折り合うように迫る。そんな態度に嫌気が差して筋を通した労働条件の改善などを求めて組合委員長の職務を真面目にやってしまう。そして委員長を外れた途端にこの懲罰人事が始まったのだ。読んでいてあまり愉快な気分にはなれないのだが、読みだすと終われない。

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