この小説では主人公の恩地元は10年に及ぶ海外僻地の勤務から開放されて日本に戻りはや10年経過しているところから第3巻は始まった。その帰国は東京都労働委員会の査問会でNALで行われている不当労働行為の疑いでの証言で実現されたもので、国民航空(となっている)の経営陣には不本意なものといわゆる窓際族であった。小説は第3巻に入り、いよいよNAL123便の御巣鷹山墜落事故の生々しい描写に入った。在日米軍の輸送機による現場発見や自衛隊の緊急発進の模様など生々しい描写が続き、臨場感がある。
しかし、第1巻、第2巻と読んできてこの主人公の異常なまでの正義感はどういうところから来たのだろうか?という疑念が頭から離れず、気になって仕方がない。そこで得意?の「ググる」をやってみて、主人公のモデル、小倉貫太郎氏が東大駒場の学園祭に招かれて講演をした<a href="http://minseikomabahongo.web.fc2.com/kikaku/99ogura.html" target="_blank">速記録</a>を見つけてしまった。しかも後輩に向けての言葉だ。かなり正確なものなのでは無いだろうか?これを読んでからは落ち着いて、小説に没頭できるようになった。
山崎豊子という作家はこの小説同様、話題作はほとんどフィクションとノンフィクションとの境界線を縫うように書き進めていくので世のひんしゅくを買ったり名誉毀損騒動が起きたりと波紋を広げるのだろう。それがよく分かる。それはともかく、御巣鷹山の事故当時、自分は既に社会人として20年以上のキャリアを経て、社会の側面もだんだん見えてきている時代で自分の同期生もこの事故の犠牲者になっていることは以前にも触れたことがある。オリンピック観戦とこの本への興味で生活が不規則になるのが一番応える。
2016年8月15日月曜日
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