2017年2月27日月曜日

宮本輝:「流転の海第8部、長流の畔」

先日、最終章と書いたのは間違いで第9部「野の春」が最終部となる。この第8部は67歳になって一寸したはずみから血迷い、混迷の道に入っていく松坂熊吾が描かれていた。こんな展開になるとは予想していなかった。タイトルの「長流」とは人生を長い河の流れに喩えたものなのだろうか、それにしては「畔」という単語は少し傍観者的なニュアンスを表現している。あるいは長い人生の一コマ、血迷いの一コマなのだろうか?晩年に向かってようやく安定してきた事業が一寸したはずみから血迷い、ボロボロと崩れていく。その崩れ行く川岸を傍観者のように眺める松坂熊吾の立ち尽くすのが畔なのだろうか?ケネディ暗殺があり、スプートニクが宇宙に飛び出し、新幹線が東京大阪間を4時間で走り、東京オリンピックが始まり、1970年の大阪万博とともに高度成長時代を謳歌し始める日本。懐かしい時代だ。

2017年2月21日火曜日

読書

宮本輝の「流転の海」第8部がやってきた。ここまで読み続けていると半年読まなくても松坂熊吾という主人公の名前が出てくるだけでこれまでの人生の変遷をかなりの部分思い出させてくれる。愛媛県南宇和郡一本松というところが出身地だという松坂熊吾はその地方の言葉使いを変えず、変えられず66年の年月を逞しく生きてきた。その最終部だという。毎晩ベットに入ってからの数分から数十分の読書の時間がこれから暫くは楽しみになる。

2017年2月17日金曜日

春一番、今年のウグイスは?

寒さに縮こまっていたのですが、今日は春一番とともに日中の最高気温は20度を超えたようだ。風が強そうで一寸迷ったのですが、昨日は1日水彩画で身体を動かしていなかったので、頑張って出掛けてみた。午後を2時も過ぎていたので風も少し弱まってきていて十分楽しめるコンディションだった。なんと今年初めて半袖シャツでプレーをしてしまった。明日の朝はもう冬型で寒いのだとか、めまぐるしい変化は春特有のものだ。この暖かさではウグイスも鳴き始めるのではないだろうか?我がブログを検索してみると、2008年には正に2月17日朝に、初鳴きを確認していた。その他の年は概ね3月に入ってからだ。さて今年はT大統領の騒々しい品の悪いツイッターに煽られて落ち着かない。こんな時こそ、のどかな鶯の鳴き声に耳を傾けてホッとしたい気分だ。

2017年2月4日土曜日

大統領令とは?

連日、世界を混乱に巻き起こしている大統領令とは、一体どんなものなのか?トランプ大統領は乱発しているのか?調べたくなって早速検索するとちゃんとそうした調査をして発表しているサイトがあった。<a href="http://www.american-presidents.info/Excecutive-Orders.html" target="_blank">コチラ参照</a>これで見ると例の「TPP撤廃」は、これはトランプ政権の方針だということを示しているに過ぎない、らしい。過ぎないというのは言い過ぎで方針なのだからそうするのだろうが法的な拘束力はないし、既存の法律を廃止する力もないということのようだ。色んなからくりはあるものだ。

2017年2月1日水曜日

新・南北戦争の勃発へ?

かと、錯覚してしまいそうな昨今のアメリカである。農村の土地に密着し、黒人や後からやてきた難民(貧民)を雇用する白人富裕層(南軍)対同じ移民でも知的労働に携わり、人種・宗教を超えて協働する新しい市民層(北軍)とが国を2分して戦う姿が浮かび上がってくる。アメリカ連合国(南軍)対アメリカ合衆国(北軍)という構図だ。ただ昔の南北戦争時では、南軍は自由貿易を推進する側であり、北軍はまだ未熟な新しい産業を育成するための時期で保護貿易を求める側であった点が今とは随分違う点ではある。今はトランプ率いる南軍派は国内商品が外国商品に太刀打ちできなくなり、その原因をアメリカが海外勢に上手くやられた故だと考え、保護貿易に向かう姿勢に賛同し、「アメリカ第一主義」を唱える。他方、民主党や開明的な人々は多国籍企業や知的労働者の力を基にするICT産業は開かれた貿易、流動的な人の交流に支えられているが故に開放経済、自由貿易を大切にする。もう一つのねじれはこの南軍的な白人富裕層を支持しているアメリカ国民の大半は”プアー・ホワイト”(貧しい白人労働者)ではないかという点だ。これまでも罪もない黒人を滅多打ちにする白人警官の姿などがよく映像で報道されてきた。脈々とつながるアメリカ国内の白人至上主義が今まで口を閉ざされていた欲求不満が爆発したという風にも見える、というのは穿った見方なのだろうか?トランプは正にそのパンドラの箱を開けてしまったのではないだろうか。これから続く混乱はエスカレートすればアメリカ連合国(南軍)対アメリカ合衆国(北軍)という国を2分する戦いにまで発展しかねない構図ではないか、と思ってしまうのです。

吉田修一:「永遠(とは)と横道世之介」

 横道世之介シリーズの完結編であることはタイトルから想像がつく。これは新聞の連載で読んだものである。と言っても細切れで読んだわけではない。というのは私は新聞のデジタル版の購読者なので、こういう連載小説はHPのアーカイブスのようなところに全部保管されているのでまとめ読みが可能なので...