2017年2月27日月曜日

宮本輝:「流転の海第8部、長流の畔」

先日、最終章と書いたのは間違いで第9部「野の春」が最終部となる。この第8部は67歳になって一寸したはずみから血迷い、混迷の道に入っていく松坂熊吾が描かれていた。こんな展開になるとは予想していなかった。タイトルの「長流」とは人生を長い河の流れに喩えたものなのだろうか、それにしては「畔」という単語は少し傍観者的なニュアンスを表現している。あるいは長い人生の一コマ、血迷いの一コマなのだろうか?晩年に向かってようやく安定してきた事業が一寸したはずみから血迷い、ボロボロと崩れていく。その崩れ行く川岸を傍観者のように眺める松坂熊吾の立ち尽くすのが畔なのだろうか?ケネディ暗殺があり、スプートニクが宇宙に飛び出し、新幹線が東京大阪間を4時間で走り、東京オリンピックが始まり、1970年の大阪万博とともに高度成長時代を謳歌し始める日本。懐かしい時代だ。

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