2020年7月25日土曜日

COVID-19(6):失敗の本質(日本軍の組織論的研究)

昔、現役時代にビジネス書として読んだ本で記憶に残ることを思い出した。 今回の日本の新コロナウィルス禍対策は「クラスター潰し」の1点に賭けているように見える。同じ方針を打ち出した国にイギリスとスウェーデンがあるようだ。イギリスではパンデミックが発生し、20万人を越える感染者発生と4万人を越える死者を出し、首相も感染し、方針をPCR検査の絨毯的実施による撲滅に舵を切り替えた。スウェーデンは「集団免疫の獲得」を目指して、ロックダウンも行わず、お店やレストランも平常通りの営業を認めてきた。ただ国民の自制心は不要不急の外出を控え、リモートワーキングも自主的、自発的に実施されて成功しているかの如く伝えられてきたが、結果は皮肉を交えて書けば目標通り集団感染への道をひた走っている。広大な国土に約1000万人の人々が暮らしている中で、感染者は8万人に近づき死者は5000人を超えた。東京都1200万人で死者5000人超だったらどうだろう。そしてさらに残念なことには、首都ストックホルムでの感染者率は7.3%に過ぎないという悲劇的な結果で推移しているという報道もある。集団的免疫の獲得には50~60%の感染者数が必要だというから目的は全く果たせていない。無策と等しい。日本とスウェーデンだけが特異な施策で臨み続けていることになる。 作戦通りに敵が動いてくれれば成功するが、そうはならない時にどうするかが問われている。 ・孫氏の兵法にもある通り、「彼を知り己を知れば百戦してあやうからず」である。感染の事態を良く知るためにPCR検査数を増やし、敵がどこに、どれだけいるか調べずして的確な作戦が取れるはずがないのに。 ・小出しの作戦は時間と資源の無駄使いになる。 ・兵站を考えない作戦は必ず綻ぶ。だが、今回のように医療崩壊を恐れてPCR検査をしない(前に進まず)、医療崩壊を防ぐ対策に手を尽くさない(政治は無策、国民の行動抑制だけを訴えている)のでは国民(兵士)は新コロナウィルス(敵)の前に放り出されたままだ。無能な為政者を選び続けてきた国民の自業自得ではあろうが、真っ当な政治力学は作動しないのだろうか?

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