馳星周の小説は、ついこの間まで毎日新聞連載の「スミレの香り」を読んだところで、これが2冊目。北海道出身の馳の得意の舞台設定だ。舞台は北海道の川湯温泉。ここには確か2003年夏、フライト&レンタカーの旅で2泊の旅行を楽しんだことがある。その2泊目が川湯温泉だった。初日は中標津空港に入り、そこでレンタカーを借りて知床峠を経由して半島を横断して羅臼で1泊。知床5湖の2つを散策し、海上からも遊覧船で知床半島を遊覧し、海岸線をうろつく熊を見た。2日目、オシンコシンの滝や原生花園を探訪した後、川湯温泉に入った。硫黄山や霧の摩周湖を見学した。到着した夕方は摩周湖は霧に覆われてた。そして翌朝再度行ってみると朝から雲一つない快晴で第1展望台から湖の全貌を見ることができて喜んだものだった。
さて物語は、東日本大震災と福島原発という忘れられない大災害を経験して原発の存在に大きな疑問を持つに至った日本の人々の心情を下敷きに、東電社長に「申し訳なかった」と謝罪して詫びさせようと目論む3人の若者による東電社長誘拐事件で始まる。3人の内の一人のアイヌ人、尾崎雅比古が自分のルーツを求めて川湯温泉にやってくる。物語中のハイライトが摩周湖の滝霧。早朝にカルデラの外輪山に溜まった大量の霧が気温上昇に伴って摩周湖に雪崩落ちる時に見られる自然現象。Youtubeで”摩周湖 滝霧”で検索するといくつもの動画がアップされていて物語の描写と実際がどうなのか、を比較してみることができる。小説読みの新しいスタイルだ。友人のOさんからの情報で新しい楽しみ方を教えて頂いた。感謝。北海道国立アイヌ民族博物館「ウポポイ」が今年の7月12日にオープンしてニュースにもなっていた。タイムリーな読み物でもあった。
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