2020年8月14日金曜日

有川浩:「阪急電車」

心ほのぼの、文庫版を読んだ。解説で児玉清が「錆びた血が騒ぐ」との表現に思わずニヤリとしてしまった。作者のエンターテイナーぶりには本当に感嘆する。物語は阪急今津線。1993年から2年間、武庫之荘で過ごした。そして何と変わった地名の多いところかと感心したことを思い出す。甲子園は何となく常識的だが、甲東園、香櫨園、極め付きは苦楽園、ここがまた超々大邸宅街という驚きもあった。今津線での驚きの地名は門戸厄神という地名、近くには神呪町(かんのうちょうと読むらしい)というオドロオドロシイ地名もあり、尼崎という地名も平安時代から開けた浜辺、大物(だいもつ)という読み方の地名もあってとにかく物珍しかった記憶がある。 今津線の各駅を利用客の人生の一こまを切り取りながらまるで連歌のように、リレーのように幾組かの若者の生態がバトンタッチで描かれていく。阪急今津線を往復する絶好の夏の夜の読み物でした。

今年の夏は「GoTo 図書館」となりそう。

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