そうせきの「坊ちゃん」を意識した文体は今回の新章でも続いている。やたらと目新しい表現に気が付く。日頃あまり見慣れない「××然」が目立つ。一度に限らず二度、三度と使われるので全体として古風な雰囲気になっている。「端然」、「冷然」、「飄然」、「混然」、「呆然」あたりはよく使う表現だが「卒然」、「確然」、あたりは滅多にお目にはかかれない。「杳然」(ようぜん):深くかすかなさま。「今書いた真を今載せて―と去るを思わぬが世の常である」〈・〉
医師になって6年、本庄病院で働き、思うところあって母校の信濃大学医学部に戻って早2年、大学院生として働いている。大学院生といってもそのキャリアから病院では第4内科第3班のサブリーダーでキャリア4年の先生と研修医を部下に持つ医局の働き盛りで本庄病院に劣らぬ多忙ぶりだ。その栗原先生に小春という女の子ができて家族3人の主になっている。そして本庄病院時代からの「任毛見あふれる診療振りは大学病院の規律とあつれきを生みながら患者と看護師の信頼を勝ち取り、陰ながら応援する心ある医師たちの応援を得て乗り越えていく、やはり青春小説の領域だ。
今回出てきたスコッチは「カリラ」お酒は「而今」、「豊賀」(小布施の蔵)「七水」(宇都宮)「田水」(三重)「信濃鶴」(駒ヶ根)「泉川」()「酔鯨」(高知)「呉春「開運」「咲くら」「鍋島」「奥」「旺然」)「善哉」(さいかな)(松本市)など数限りない。
医学部の良心とも称された親友、進藤達也の奥さんで大学では1年後輩の如月千春が同じ親友佐山の結婚披露宴で再会を果たし、進藤家にも春が訪れようとしている。続編が待たれる。
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