2022年6月28日火曜日

原田マハ:「旅屋おかえり」

 礼文島に生まれ、小さい時から海を渡ってくるアザラシやイルカの群れを見て育ち、漁師の父に「あの海の向こうに何があるの?っと訊ねていた。そして高校の修学旅行でスカウトされ、小さな芸能事務所に所属する。そして今は人情味厚くはあるがコワモテする萬鉄壁社長と二人だけでレギュラーの旅番組を1本だけにしがみついている日々。しかし番組中にスポンサーの商品名を不明瞭な発音でしたためライバル会社の商品名に聞き間違えられて即刻、放映打ち切りとなり無職に転落した丘えりこ。おかえりさんの名前で一部の人たちからは絶大な支持を受けていたのだ。ひょんな事から旅の代行を頼まれ、新たに「旅屋おかえり」という旅行代行業という奇妙な仕事を始める。依頼者の事情をヒアリングし、どこへ、どんなふうに旅してほしいかを聞き、成果物はどういう価値にするかを取り決めながら旅をし続ける。そしてある時、勝手のスポンサーの社長から意外な依頼を受ける。その依頼内容を通して、社長の知られざる過去を知ることになり感動の顛末を作者の筆は滑らかに進めていく。読んでほっこりする一冊だった。

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