2022年7月6日水曜日

鎌倉だより:「吉屋信子邸」見学(6月3日)

 不定期に公開されている吉屋信子邸も長谷の近くにある。長谷寺や日本文学館のすぐ近くにある。コロナ禍で申し込み制になっていて10人、1時間限定/回だった。どんなに人が集まるのかと思ったら、申し込んだ時間帯がお昼時に掛かったからか自分の他にあと一人だけという寂しさだったが、のんびりと長閑なひと時を過ごすことができた。

敷石を渡り母屋へのアプローチ
この建物は古い建物を今風に言えばリニューアルしたもので建築設計家の吉田五十八が手掛けたものだ。この人は洋式の生活と両立できる数寄屋建築を創案し、旧歌舞伎座や吉田茂邸などを手掛けたことで知られている。施主の吉屋信子は戦前の鎌倉、その後東京の牛込、鎌倉の長谷と三度、この吉田五十八に設計施工を依頼し、この長谷の「奈良の尼寺」(施主の希望)のような住まいが終の棲家となった。建物は元々のものを10m奥の山側に移動させて屋根なども元のまま使い、内装を全面的に吉田五十八が手を加えた形になっている。

肘木門
門と塀、それに肘木門は数寄屋風で植え込みを内側にしつらえて母屋が直接見えないように工夫されている。
植え込み側からの庭から見た
当時のままの応接間。障子の講師の大きさに注目
応接間から見る庭
長い庇が日除け効果を出している
応接セットと目の高さを同じにするため少し高くなっている和室
障子、網戸、ガラス戸、雨戸の4重敷居が外に向かって傾斜している

外の甁

きめ細かい室内設計と換気への配慮、間接照明、クローゼットなどがすべて組み込まれていて、基本的に家具を入れなくてもそのまま住める設計には当時(昭和37年)を思えば凄いユーザ志向の設計だった。



 


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