この本を予約したのはいつだったか、このところ気になりだしていたら図書館から連絡があった。4月22日から都美術館で伊藤若冲(1716-1800)の生誕300年を記念展が始まる。その前になんとしても読んでおきたかったからだ。澤田という作家は知らなかったが、面白かった。若冲の亡き妻の弟、市川君圭との角逐、この絡みの中で若冲がどうしてあのような絵を描いていくのかリアルに描きだしていく小説は迫力があった。作者に聞くというサイトを見ると、京都人である澤田は、ある時若冲の晩年の様子を書いた当時の雑文に、『石峰寺の隠居所に尼の姿の妹と男の子がいた』という記述を見つけたことに、この本の着想を得たらしいのです。歴史小説というのはみな、真贋、史実に忠、不忠織り交ぜて登場人物を活写していくものだとすれば、この作品は小説としても絶品と言えるのではなかろうか?若冲は史実では生涯独身だったらしいのでそういう意味では、正にどんでん返し、そのものではないか!展覧会で絵と対面するのが楽しみになってきた。
2016年4月30日土曜日
2016年4月27日水曜日
裏磐梯へ(1)
訪れた時(4月19日)、桜前線は東北福島の北を通過中でした。新幹線から見た桜の田園風景は長閑でしたが、磐梯熱海駅辺りは峠で標高も600mぐらいで、そうなると桜も蕾の段階だった。猪苗代湖駅では桜も満開。駅前から見上げる磐梯山は表磐梯。スキー場がいくつも見えた。50年ほど前にはここで滑った記憶がよみがえった。到着した裏磐梯国民休暇村からは雪のべったりついた裏磐梯のお出迎え。
2016年4月25日月曜日
雨の深大寺
日曜日、雨は午後には上がるというが、スケッチには雨は大敵。判断に迷うところだったが、天気の変化が早ければ早めに止む理屈だと、出掛けた。雨の中なので到着した深大寺は人影もまばらで絶好のタイミング。雨も小降りで傘をさして膝の上に画用紙を広げれば十分描ける。雨上がりのいい雰囲気を出せればと格闘すること、2.5時間。気が付けば雨はすっかり上がっていたが、上から花殻でしょうか、水分を含んだものがどんどん落ちてきてこちらは画用紙にぺったり貼り付いて大変な強敵、慌てて傘を広げました。
2016年4月18日月曜日
三浦しをん:「まほろ駅前狂騒曲」
3部作の最終編が図書館からやってきた。多田便利軒の多田さんと居候を決め込みながらも、何となく多田さんをバックアップする行天くん、この2人のトラウマが次第に明らかになってくる。その謎を解くカギは子供が絡む問題を持ち込まれる度に、見えてくる。行天くんは結局、新興宗教にハマった母親から虐待に近い(母親からすれば神に近づくための行であったらしいのだが)扱いを受けて親を逃れ、それでも自分も子供を追い込んでいく親の遺伝子を受け継いでいるのではないかという恐れで、子供にも、従って結婚にも近づかず、逃げ回っている。しかし、子供を単に欲しいだけの女性(何かを研究している学者)とどこかで出会い、偽装結婚した子供がどこかにいるらしい。今回のシリーズでは、新興宗教の流れを持った自然農法の野菜の生産・販売団体の子供を救出する仕事に加え、行天くんの離婚した奥さんから海外出張のために1.5か月だけ子供を預かってほしいという依頼を受けて懸案が一挙に解決へと向かう。行天くんもはなちゃんという本当は自分の子供だったことも承知で表面上はともかく内面では何とか子供虐待することもなく、相手できることを確認していく。また、多田さんの方もいつも行く食堂の女経営者を憎からず思っていたのだが、その女性との出会いは亡くしたご主人の遺品の整理というお仕事が切っ掛けだったのだ。この恋愛が次第に実りだしたのを察知した行天くんは邪魔にならないように飄然と姿を消す。居候でいられた間は邪魔ものにしか考えてこなかった多田くんも相棒を失ってみて、寂しさが募る。この辺りは中々泣かせる。最後は・・・まぁ、ハッピーエンドとだけ書かせて貰おう。映画ではここまでを含めた作品にはなっていなかった。通して読めば映画より作品の方が出来は良い感じがする。
2016年4月10日日曜日
情報セキュリティと守るべきもの
先ごろの注目したニュース。
FBIが昨年末にカリフォルニア州で起きたテロ事件の犯人が所持していたスマホの情報を調査したいが、ロック機能を解くことができないので、アップル社に解除に協力するよう要請したが、アップル社はこれを拒否した、という意味の報道だ。また、司法省からアップル社に直接、『利用者の情報を簡単に抜き取れる「裏口(バックドア)」と呼ばれる仕組みをiPhoneに組み込むよう米政府から非公式に命令された』と2月16日付の公開書簡で明らかにした。
アップル社はその後、「2月25日、米連邦地裁が(セキュリティー機能)解除を命じたのは憲法違反」として命令の無効を申し立てた。また、グーグル、AT&Tなど米主要IT(情報技術)・通信企業と法学者などが3月3日、共同で連邦地裁の担当判事に「アップルを支持するよう求める」正式な意見書を出した。
注目点は2つ。一つは改めて世界に知らしめたアップル社のセキュリティ技術の高さだ。同社の宣伝になったことは言うまでもない。もう一つは、アップル社の顧客の情報を保護するという一点に対する確固たる信念にも似た意志の力で、時の行政を相手にして1歩も妥協しない態度だ。
最近になってFBIが自力で暗号の解読に成功したということで、法廷闘争は結審にまでいかないかもしれない。この解読作業は数回失敗すると情報そのものが削除されるという環境の中での作業で協力したのはサン電子の子会社でイスラエルのIT会社だという。イスラエルのIT技術の先進性を示すという落ちまでついた。
翻って日本のマスコミが時の行政から注意を受けたり、場合によっては電波を止めるぞと脅されて、硬派のコメンテーターや報道の自主規制に走るという体たらくが情けない。信念というものがない。サラリーマン会社では無理な相談かもしれないが、残念なことだ。一代で財を成した、かっての松下幸之助や本田宗一郎や井深大といった企業家が社会性を発揮して物をいうとしたらどんなことをいうだろうか?マスコミや評論家が厳しく民主主義を脅かす事象に対してキッパリ物を言うのを見たいものだ。今の日本でならば、ユニクロの柳井正、ソフトバンクの孫正義といった人達でしょうか。
花の名前を特定するには・・・
花の名前を特定するには、以前だと買い込んである何冊かの草花図鑑を紐解くのが常であった。この図鑑を調べ上げるのは中々むつかしいのだ。本によるが、花の咲く季節での分類から調べる方法、、花の色から調べる方法、花の形や葉の付き具合から調べる方法でどのアプローチをとるかだが、素人には難解だった。今どきの方法は、というと「ネットに聞く」だ。どういう風に?写真をできるだけ沢山、それも花だけでなく葉の形、付き具合など撮って、それをアップする。そして「この花の名前を知りた~い」と呟く。数分から数十分で回答が続々と届く。なんと安易な方法だことか!こんな方法が主流になると、植物学の色んな分類方法などを真面目に勉強する人が減るだろう、と心配になる。が、便利であることは間違いない。<a href="https://minhana.net/" target="_blank">花好きを応援!総合花サイトみんなの花図鑑</a>などが利用価値が高い。この調子で小鳥の鳴き声から鳥の名前を教えてくれるサイトはないものか?小鳥の鳴き声を採集するのが一寸厄介かもしれない。しかしこれも最近のスマホを使えば案外良い音で収録できるかもしれない。あとは「この鳥の名前を知りた~い」と呟けばよいのだ。そんなアプリがあれば良いのだが・・・・YouTubeを利用して質問回答というパターンならばあることはあるが、専門のサイトではない。【さえずりナビ】は、鳴き声を特定するための情報をいくつか入れて、候補を出してもらい、その鳥の鳴き声を聞いて種名を特定することができるので、大分理想形に近いようです。
情報セキュリティと守るべきもの
先ごろの注目したニュース。
FBIが昨年末にカリフォルニア州で起きたテロ事件の犯人が所持していたスマホの情報を調査したいが、ロック機能を解くことができないので、アップル社に解除に協力するよう要請したが、アップル社はこれを拒否した、という意味の報道だ。また、司法省からアップル社に直接、『利用者の情報を簡単に抜き取れる「裏口(バックドア)」と呼ばれる仕組みをiPhoneに組み込むよう米政府から非公式に命令された』と2月16日付の公開書簡で明らかにした。
アップル社はその後、「2月25日、米連邦地裁が(セキュリティー機能)解除を命じたのは憲法違反」として命令の無効を申し立てた。また、グーグル、AT&Tなど米主要IT(情報技術)・通信企業と法学者などが3月3日、共同で連邦地裁の担当判事に「アップルを支持するよう求める」正式な意見書を出した。
注目点は2つ。一つは改めて世界に知らしめたアップル社のセキュリティ技術の高さだ。同社の宣伝になったことは言うまでもない。もう一つは、アップル社の顧客の情報を保護するという一点に対する確固たる信念にも似た意志の力で、時の行政を相手にして1歩も妥協しない態度だ。
最近になってFBIが自力で暗号の解読に成功したということで、法廷闘争は結審にまでいかないかもしれない。この解読作業は数回失敗すると情報そのものが削除されるという環境の中での作業で協力したのはサン電子の子会社でイスラエルのIT会社だという。イスラエルのIT技術の先進性を示すという落ちまでついた。
翻って日本のマスコミが時の行政から注意を受けたり、場合によっては電波を止めるぞと脅されて、硬派のコメンテーターや報道の自主規制に走るという体たらくが情けない。信念というものがない。サラリーマン会社では無理な相談かもしれないが、残念なことだ。一代で財を成した、かっての松下幸之助や本田宗一郎や井深大といった企業家が社会性を発揮して物をいうとしたらどんなことをいうだろうか?マスコミや評論家が厳しく民主主義を脅かす事象に対してキッパリ物を言うのを見たいものだ。今の日本でならば、ユニクロの柳井正、ソフトバンクの孫正義といった人達でしょうか。
2016年4月9日土曜日
2016年4月6日水曜日
早春の山野草
我が家から徒歩20分弱のところにあるK公園には珍しい山野草がよく見られて嬉しいお気に入りの場所だ。人の混まないのがまた何よりだ。今年はカタクリと桜が同時に咲いて賑やかだ。名前の知らないものもいくつかある。今日はその中から3つアップする。
2016年4月5日火曜日
2016年4月4日月曜日
道尾秀介:「向日葵の咲かない夏」
一ひねりも二捻りもある謎解きのお話し、とは言えない。いわゆるミステリーでもなくサスペンスものでもなく、トラウマを持った一人の少年の経験(妄想)・・・小学4年生の夏休みの出来事。ですが子供向けの探偵物語ではありません。難しいですが、一旦読み出すと先を読まずにはいられなくなります。サイトを検索すると色んな解釈、感想を知ることができます。作者本人もtwitterで読者といろいろ会話していますね。新しいタイプの作家でしょうか?この小説では輪廻転生の概念を使って2重構造の世界を作っていて結構難しく、この種のものは叙述トリックという言い方をするようです。具体的には、登場人物の性別や国籍、事件の発生した時間や場所などを示す記述を意図的に伏せることで、読者の先入観を利用し、誤った解釈を与えることで、読後の衝撃をもたらすテクニックのことらしいです。自分の好みからいえば、初めてのジャンルの小説で、もう少しこの作者のものを読んでみたいと思っています。
2016年4月3日日曜日
小浜三丁町から鯖街道
美浜に隣接する小浜はかっての城下町。城下は西、東、中組に分かれていたらしいがその西組の古い街並みが復元保存の真っ最中でした。三丁町、かっての花街の名残と紅ガラ格子が美しい。1軒、1軒格子のデザインがそれぞれ違うと土地の古老が教えてくれた。そこから有名な鯖街道をドライブして京都大原の里に抜ける、素晴らしい街道を連れて行って貰いました。途中の熊川宿。いつかもう一度、ゆっくりと味わいながら訪ねてみたいところでした。桜に数日早すぎた旅でした。
2016年4月2日土曜日
三方五湖と美浜の村
福井県美浜地区といえば原発銀座を思い浮かべる人も多いが、今回初めて訪れた三方五湖は風光明媚で複雑な地形が作り出す美しいところだった。日向湖と早瀬漁港に挟まれた小さな村の三宅酒造は小さな酒蔵だったが、当主は11代目、家族総出で出迎えてくれた。その夜の宿で飲んだのは勿論、そこの純米酒「早瀬浦」。良いお酒でした。夕景も見事でした。
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