2020年9月25日金曜日

COVID-19(8):スポーツジム会員に家庭内感染発生

今日の夕方、一通のメールが飛び込んできた。会員の保護者から「家庭内感染」が発生したとの連絡があり、施設全域と送迎車両の消毒作業を9月26日に実施するため急遽明日1日は臨時休業するとのことだった。同メールによれば、「管轄保健所と連携協議しました結果、濃厚感染者はいないため、消毒作業後の営業は問題なし、と言う判断を頂きました。」とのことでどうやら感染者はスイミングスクールに通っている児童の一人のようだ。とはいえ、ついに身近なところで鬱陶しいことが発生したものだ。色々なNPO活動もやっている手前、暫くスポーツジムはお休みにしようと思う。

2020年9月21日月曜日

川越宗一:「熱源」

 初挑戦。第162回直木賞受賞作。アイヌにはユーカラ(樺太アイヌでは「ハウキ」と言うらしい)という叙事詩があると聞かされていたが、この小説もまたアイヌ民族の現代史の一断面を丹念に調べ上げて書かれた叙事詩的作品だった。

それは初め無主の島、サハリン島の成り立ちをロシアと日本の共有地としてスタートし、後(明治維新のころらしい)にロシアが単独で領有することになり、日露戦争後に講和条約で北緯50度以南のサハリン島は日本の領有に変り、1945年8月の太平洋戦争によってソビエトが嘗ての領有権を回復しようともくろむ日ソ不可侵条約を破棄した時点までを俯瞰するような物語だった。主役はその地で暮らすアイヌの民。サハリンに住むアイヌの民は希望によりその後住む地をそのままサハリンに留まるか、或いは日本(北海道)にするかを選択できたらしい。そして日本を選んだ人たちが石狩川のほとりに入植した。その入植者たちの中から自分たちのルーツを求めて再度サハリンに戻った人たち(ヤヨマネフク、シシラトカ、千徳太郎治)が主人公だ。平穏に狩猟を中心として暮らせればそれでよかったアイヌの民にロシアと日本の都合が、そして文明が自然と征服される側の民族へと押し込められる。ロシアの流刑囚プロニスワフ・ピウスツキ(後に民俗学者となりアイヌの民を研究、アイヌ民族を世界に紹介)その妻となるアイヌのチュフサンマなど。金田一京助、大隈重信などが歴史に顔を出す。無知から土地を追われ、権益を奪われて貧困から抜け出せず、また同じように伝染病に対する知識もなくコレラや天然痘に多くの同胞を失い、滅びゆく民族として扱われることへの抵抗感を感じながらもあがき続ける主人公たちの苦悩を描いていく。日露戦争後は日本統治下の樺太では白瀬中尉の南極点到達探検隊に同行してアイヌの存在を歴史に残そうと応募し南極大陸にまでも行くが成功までには至らない。そして時は移り人は世代を繋ぎ、同じ苦悩の中で1945年終戦を迎える。

先に読んだ馳星周のカムイの涙が現代のアイヌの生活の1断面を描いていたが丁度それを裏打ちするようなアイヌの歴史を知る貴重な一冊だった。


2020年9月20日日曜日

COVID-19(7):ワクチンより治療法(治療薬)

 昨日からお彼岸を含めた4連休。5月のゴールデンウィークに対応して「シルバーウィーク」とも称されている。世の中、Go to キャンペーンに来月から東京も含まれるとあって何となく一段落モードになっているようだ。かく言う我が家にも久し振りに息子たちが様子見方々、お墓参り方々、集まってきた。そんなに暑くはなかったが南北の窓を開けてエアコンを付けて、簡単な昼食を共にした。息子たちはそれぞれ車での往復だったが、その道中の道路の混雑は久し振りのものだったようで渋滞に巻き込まれもしたようだ。お墓までの国道16号線の混雑も相当なものだった。このお出掛けモードの結果、COVID-19の感染者数はどういう経過を辿るのだろうか?1~2週間後の結果が気になるところだ。それがちょうどGo to キャンペーンの開始時期と重なることもあり、重要な分岐点となるかもしれない。この夏の新コロナウィルス流行は世の中では第2波と言われているが自分の中では第1波の延長線上にある真のピークであって、第2波がもしあるとすれば涼しくなった秋から冬にかけての時期に流行が再発したときのものと思う。今年4月5月の流行は十分なPCR検査もできず、潜在患者を発見しないまま、国民の自粛行動のみに頼った結果、見かけ上減少し、沈静化したように見えただけのものであったという私の読み解きを変えるような施策も因果関係も見られなかったからだ。

ただ、手洗い、マスク、消毒、ソーシャル・ディスタンシングなどの「新しい生活様式」を実践することで、社会全体として感染者数を抑えることができているのは間違いない。そしてこの半年の間に国民の間に芽生えた最大の不幸は「感染者差別」視を芽生えさせたことだ。「感染するのはこの新しい生活様式を守らなかった不届き者」という烙印を押したがる風潮を生んだことだ。「ひょっとしてあなたもPCR陽性の保菌者?」とお互いを見る目が変わってしまったのだ。この国民相互の不信感を加速させた最大の要因は「PCR検査体制の不備」、これを招いた行政の怠慢、政府の指導力不足ではないだろうか?本当の第2波が来た時この相互不信を解消できるような「PCR検査体制」が準備できているのだろうか?どんなに用心していても感染するときは感染してしまうのがこの感染症の特徴らしい。だとすれば、予防ワクチンンの開発も大切だが、より重要なのは万一感染したとしても症状に応じた治療方針治療薬が用意されていればもっと安心して社会生活を続けられる。この安心感が結果的に経済再建に直結する対策になりうるのだと思う。ワクチンの開発は勿論理想だがこれはどんな人にも副作用なく有効性が確認できるまで時間が掛かることも明らかになってきているので、そこに期待するのはそれこそ第2フェーズとするべきなのだろう。「自衛警察」の横行などを許してはならない。第2波に備える適切な新コロナウィルス禍対策(検査体制、治療体制の整備)、適切な情報の発信、一言でいえばこれを生み出す政府の指導力こそ今求められている、と思う。

2020年9月13日日曜日

大坂なおみ:全米オープンテニスに2度目の優勝、おめでとう

 今朝は自然と朝5時に目が覚めた。言わずと知れた全米オープンテニス女子シングルス決勝の開始時刻だからだった。WOWWOWは契約していないのでテレビで見ることはできないのでネットでリアルタイムで伝えてくれるスコアの推移に一喜一憂する展開でしか情報を得る手段がない。sportnaviで逐一、スコア展開を教えてくれるのだ。1セット目、いきなり大阪のサービスゲームをブレークされてあっという間に1-6でセットオーバー。とんでもない展開になりそうだと思ったが、相手のアザレンカも準決勝ではセリーナ・ウイリアムスに第1セット、おなじ1-6で失ってから2セット連取して勝ち上がってきたことを思い出す。結果は正にその通りの展開になった。喝采!!今年の大坂なおみには勝たねばならない使命感のようなものがあったように思える。1つには、BLM運動への共感と自分がアスリートとしてできるやり方を決めて出場したという使命感が支えてくれたこと。もう一つは敬愛して止まなかったプロバスケットのコービイ・ブライアント選手の死(今年1月ヘリコプター事故)に対するはなむけとして自分の成長した姿を見せたかったという使命感だ。単に勝ちたいというだけではなかったSomethingが彼女を揺り動かしていたのではないだろうか?しかし、それも実力がなければできることではない。新しいコーチ陣が彼女の体を鍛えなおしたようだ。今年の1~2月、まだ不安定だった彼女がこの新コロナウィルス禍の休みの期間にキッチリ心身ともにリフレッシュして再登場したのだから精神面、技術面ともにリニューアルされた大坂なおみに弱点はなかったのだ。全く比較するのも変だが将棋の藤井聡太八段がやはり新コロナウィルス禍で蘇って2冠達成したという話を思い出した。

2020年9月8日火曜日

三浦しをん:「光」

 三浦しをんの作風、イメージを根底から覆すようなミステリアスで屈折した登場人物たち。冒頭の巨大津波が小さな島を飲み込んで僅かに生き残った5人。思わず2011年後の作品かと思ったら2006~7年ごろの作品と知り、どうしてこんな作品を書く気になったのかとそれもミステリアス。

吉田修一:「永遠(とは)と横道世之介」

 横道世之介シリーズの完結編であることはタイトルから想像がつく。これは新聞の連載で読んだものである。と言っても細切れで読んだわけではない。というのは私は新聞のデジタル版の購読者なので、こういう連載小説はHPのアーカイブスのようなところに全部保管されているのでまとめ読みが可能なので...