八王子時代のご近所さん、童話作家のYさんがブログで紹介していた本。小さいころ住んでいた街、商店街でもない住宅街の中に1軒、クリーニング店があった。そんな街中のクリーニング店が姿を消していったのは何時ごろからだったのだろうか?気が付いてみると今や、チェーン店しか見かけない存在になってしまっている商店街の中のクリーニング店「あらいクリーニング」がこの物語の舞台だ。書かれている商店街の風景は何故だか、遠い昭和の故郷金沢の街並みを思い出させる。東京でしいて類似なところといえば、谷中の商店街などが思い出される。主人公は大学卒業間近だが自営のクリーニング業を手伝いながら将来への不安を噛みしめながら過ごしていた。そんな中突然の病で父親があっという間に旅立つ。その先をどうしたら良いのか!父なき後のあらいクリーニング店の再建の日々を四季に書き分けて二代目店主としてお客様との営業を通して地域とのつながりを確かなものにしていく。大学からの友人、沢田君が重要な役回りをしてくれる。クリーニングにまつわる些細な出来事からそのお客の抱えている難問の所在を突き止め、解決しながら地域とのつながりを確かのものにしていく。最後の第4章でしんみりとした話で締めくくる。
こういう小説のスタイルには以前読んだ三上 延の「鎌倉ビブリア古書堂の事件手帖」や北村薫の小説と似た手法のような気もするが。