2021年7月29日木曜日

夏川草介:「臨床の砦」

 新コロナウィルスと戦う信州の小規模ではあるが、地域で唯一新コロナウィルス患者を受け入れている病院の医師たちの戦いの日々を描いたドキュメンタリータッチのお話。

敷島医師はこれまでの神様のカルテシリーズで登場してきた主人公によく似た読書好きで家庭的にも良きパパで常に冷静な良識ある医師だ。専門は消化器内科で感染症とは関係がなかった。物語は2020年2月から2021年2月までの第3波がようやく終焉しつつある頃までだが、物語の中心はその第3波、2021年1月から1か月ほどの期間だ。その主人公が彼の元々の患者である山村さんと院外の敷地で出会い、数分の立ち話をする。母親が認知症で介護をしながら仕事をしている。その母親が偶々2~3日利用したディサービスでクラスターが発生し、認知症の母親も発熱し、PCR検査陽性となり、入院したと朝のカンファで報告があった。敷島もいわゆる濃厚接触者ということになる。そう分かった途端に心に浮かぶ死の恐怖、家族にうつしてはいけないという使命感、家に帰っても車で寝泊まりする日々の孤独感。幸い、陰性が続いて職場への復帰がなるのだが、そこでも同僚からのそれとない疎外感を描いたところがハイライトだった。

2021年7月26日月曜日

ブルーベリー:7月22日

 テニス友のMさんからのお誘いでブルーベリー積みに行ってきました。何年振りでしょうか?10年以上前であることは確かです。

暑さと虫対策に備えて長袖シャツ、つば付きの帽子で行ってきました。伸びやかに開けた農地で適当におしゃべりしながら1時間、積み放題という大盤振る舞いで沢山のブルーベリーを収穫してきました。丁度息子が連休で顔を出してくれたのでタイミングよくお裾分けしたりできて良かったです。Mさんに改めて感謝です。取り敢えず在庫は冷凍で!




2021年7月19日月曜日

秋川渓谷(黒茶屋):7月18日

一昨日に引き続き、今日は秋川渓谷へ。そして暑い!
五日市市にある秋川渓谷でスケッチ。といっても目的の過半は渓谷への下り口にある黒茶屋で今が旬の鮎弁当を戴くということ、他に天然氷の氷水も食べるのだとか・・・。ということで車でお出掛け。五日市牛のステーキなどでも有名な茅葺きの和風レストランの横を下りていくと豊かな秋川の渓流が流れる河原に降り立つことができた。



食べたのは茶房糸屋のお持ち帰り、右上の鮎弁当でした。今年初の鮎の塩焼き付きのお弁当でした。河原は直射日光が大変で木陰に避難して絵を描いていると河鹿の鳴き声が蝉の声と一緒に聞こえてきた。木陰では風も心地よかった。河鹿といっても魚ではなく、美しい声で鳴く蛙なのです。天然氷の氷水は量も多くてお腹を壊しそうなのでパスしました。ふわふわ氷で美味しかったそうです。

カジカガエル


2021年7月18日日曜日

梅雨明け(7月16日)

 先日の熱海伊豆山の土石流など関東地方に大きな災害をもたらした長雨がようやく収まったと思ったらあっという間の梅雨明けとなった。そして天気予報を信じてこの日、逗子鐙摺海岸にスケッチに行こうではないか!と誘われて出掛けてきた。出掛けるに当たって逗子といい、鐙摺といい、変わった地名に興味を覚えて逗子市の公式ホームページを訪問した。

[逗子]
地名の由来は諸説あり、主な説として以下が挙げられる。
① 「三浦厨子城」より厨子。
② 延命寺の地蔵尊(伝行基作)を安置する厨子から(『新編相模国風土記稿』他)。
③ 天正年間(1573-92)、荘園に属する豆師(図師)が住んでいたことから(『大日本地名辞書』他)。
④ 道が交差し人が集まる交通の要衝、辻子(ず し)のこと(『日本地名ルーツ辞典』

[鐙摺]
海づたいに現在の葉山町と接する一帯です。この周辺は、起伏に富み往来に不自由な地形をなしており、「新編相模風土記」には、その道の狭さのため源頼朝が鐙を摺り、これに由来して「鐙摺」と称された



とありました。とはいえ、この地でのスケッチは実は2度目で多分3~4年ぶりのことだ。ちょっとおしゃれなレストランが海に突き出ている。よく見て頂くと江の島の左上方の雲の上に黒く映っているのが富士山ですね。

2021年7月13日火曜日

映画:いのちの停車場

 金沢ロケと吉永小百合出演で大々的なキャンペーンが張られていた。まだ上映しているかと検索してみると幸いにも1回/日の上映で時間もピッタリだったので出掛けてみた。観客はぐるっと見回すと6名しかいない。映画はタイトルの示す通り、在宅医療の厳しい現場で楽しい映画として紹介することもできない。ただ、懐かしい金沢の街、路地、観光名所などがどんどん出てきて嬉しかった。雨の金沢、桜フブキの春、街中を流れる用水路や2つの川の風景は故郷を懐かしむ気持ちを十分、満たしてくれた。

2021年7月8日木曜日

凪良ゆう:「わたしの美しい庭」

 ある読者の感想文から:---

母の元彼に育てられたり、高校の時亡くした彼をいつまでも想ってたり、トランスジェンダーだったり、鬱病で無職になったり。どんな人にも自分だけの美しい庭はあるのだと思う。周りの人や世間からどう思われるかではなく、自分がどう思っているのかどうしたいのかが一番大事。皆が美しいと思う庭などどうでもよくて、自分だけの美しい庭があれば十分だと思わされた。----と。

本のタイトルの意味を改めて考え、納得させられる本だった。各章ごとに登場人物が一人称で語る、呟く、これが一つのリズムをこの小説に与えていて読みやすく、心地よくページをめくることができた。題材は「世の中の普通」になじめない人たちの意心地の悪さやそれでも繋がりあい、生きていけるんだというエールでもあるようなそんな本だった。


2021年7月3日土曜日

梅雨真っ只中

 静岡県を襲った線状降雨帯とも見えるレーダー予想図をテレビで見てその翌日の今日、伊豆山で土石流が発生した。今は誰もが持っているスマホの動画でその状況が目の当たりになった。伊豆山神社には行ったこともある。そのずぅーと上の方には会社関係の温泉保養所が団地のようにできていて、一度その施設に勤めていたOBの知人と一緒に宿泊したことがある。その地形は本当に急坂で普段は全く水の流れていない谷川のような川と一体になっていた。見覚えのある市街地の建物が土石と共に吹き飛ぶのがその動画に捉えられていた。そのような地形の所は日本各地に点在しているのだと思う。いつも同じような災害に見舞われている状況は今日の繁栄の中では手を付ける術もなく放置されている。被災地の人たちの労苦に思いを馳せる。

大雨にもならずに済んで、いつものようにルーチンになっている散歩コースを辿れば、梅雨時の草花や花木が可憐な花を咲かせていた。

左上から
クチナシ、ノウゼンカズラ、あじさい、ねむの木、ノカンゾウ(ワスレグサ)、ムクゲ





吉田修一:「永遠(とは)と横道世之介」

 横道世之介シリーズの完結編であることはタイトルから想像がつく。これは新聞の連載で読んだものである。と言っても細切れで読んだわけではない。というのは私は新聞のデジタル版の購読者なので、こういう連載小説はHPのアーカイブスのようなところに全部保管されているのでまとめ読みが可能なので...