2020年11月3日火曜日

ポストトランプの時代を想像する(フィナンシャルタイムズ)

イギリスのフィナンシャルタイムズは世界をリードするビジネス・経済ニュースメディアだ。
今日の記事でトランプが去った後のアメリカや世界を想像している。ひょっとして既に選挙結果をそのような流れと読み切っているのだろうか?その要旨は、
最も可能性の高いシナリオ――ドナルド・トランプ氏が来る大統領選挙で敗れ、しばらくごねてから退くという展開――が実現したら何が起こるか、を想像している。
(1) トランプ氏が去った後、同氏の支持者や反対派は、新しい話題のみならず、新しいアイデンティティーを見つけることができるのだろうか。
世界中の人々の関心をリアルタイムでここまで引きつけた人物は、過去の歴史を振り返っても一人もいない。何しろ世界一大きなメガホンを手にしたこの人物は、この4年間、私たちの頭脳をウソや悪口、人種に基づくいじめなどで汚染し、その言葉に耳を傾けた人すべてをさらに愚かで偏執的にしてしまったのだから。
(2) もし、ジョー・バイデン氏が次期大統領になれば彼は新たなジェラルド・フォード(ウォーターゲート事件で退任したニクソン大統領の後任の大統領)のように見える。国家の危機を引き継ぎ、その危機に倒される礼儀正しい人物という意味だ。トランプ氏が去った後、民主党は有権者を投票所に向かわせるマシンを失うだろうし、リベラル派の新聞は極上のネタを失う。報道業界は景気後退に陥りそうだ。ニューヨーク・タイムズ紙は近年新たな購読者を数百万人獲得した)そして米国民はその視線を政治から自分の身の回りの生活に移すようになるだろう。(と皮肉って見せている)
(3)トランプ氏の最大の政治的遺産は、同氏が励ましている極右民兵になるかもしれない。1つの国を統治不能にするには、武装集団がいくつかあれば事足りる。(と物騒な想像をしている)そして選挙で敗れても、2016年の当初の計画を実行に移してトランプTVを立ち上げることができるだろう。トランプ氏のテレビ向きの才能を生かし自分はビジネスマンだという幻想を捨てて、低俗なエンタテイナーとしての真の才能を認めることができれば、トランプ氏は大儲けできる。
(4)米国以外に目を向けると、排外主義者の将来はもっと明るい。 彼らはトランプ氏が2016年に展開した、娯楽性が高く反エリートでいわゆる「犬笛」を多用する選挙戦をお手本として研究し、トランプ氏の当選後の4年間については、ひとたび権力を掌握した後にやってはならないことのケーススタディとして吟味することになるだろう。 トランプ氏は昼間テレビを見たり、ツイッターに投稿したり、ゴルフに興じていたりしていたが、その間にハンガリーのオルバン・ビクトル首相のような玄人の独裁者は、メディアから裁判所、国家官僚、大企業まで、すべてを支配下に収めた。 トランプ氏は数人の裁判官を任命しただけだ。統治者に求められる最低限のレベルさえ超えられなかった。 比較してみると良い。人口比で言えば、米国におけるCOVID-19による死者の数はハンガリーのそれの4倍超にのぼる。 今後も、極度に単純化された排外主義に基本的な統治能力と「国家捕獲」(公的資源を不正に使用すること)の能力が加わることが、ものすごい威力がある政治的レシピであり続けるだろう。
(要旨のみ。元ネタはこちら
皮肉たっぷりの論評だが、今後の世界を考えるとトランプ氏のやり方を知ってしまった政治的な野心家の出現が恐ろしい。この論評の通りにトランプ大統領が敗北し、早く彼の時代を忘れさせてくれるのだろうか?アメリカではすでに投票が順次始まっている。

2020年11月2日月曜日

馳星周:「蒼き山嶺」

北朝鮮のスパイとしてン本に送り込まれた池谷とプロの登山家になった若林とその若林の山でのあるきぶりを見て自分は本当のプロ登山家にはなれない、しかし山を捨てきれず警視庁の山岳救助隊に入って山で人を救助するプロとして過ごした徳丸。この3人の友情を軸にして公安に追われる池谷を助け5月の白馬岳から栂海新道を日本海に抜けるまでの逃避行を描いている。懐かしい白馬三山、白馬大池、憧れながら遂に行くことはなかった雪倉岳などが出てきて自分の記憶の中の映像を繰り返し引き出しながら読んだ。

2020年10月25日日曜日

夕焼け(10月23日)

 アップするタイミングが遅れてしまったが、先週の金曜日までの長雨が上がり、翌日の晴れを予感させる凄い夕焼けだった。



2020年10月18日日曜日

凪良ゆう:「流浪の月」

 2017年の吉川英治文学新人賞、2020年の本屋大賞作品。著者は漫画家志望だったそうだが実際には多彩な執筆活動を行っている様子だが、その著作のテーマでは、一貫して「どこまでも世間と相いれない人たち」を書いてきたことだという。(Wikipediaから)

本作も主人公更紗は親に恵まれず、8歳で叔母の家に引き取られ育つが、その家の中2の男の子(従弟)に夜ごと悪戯されて過ごさざるを得なかった薄幸の身。居所がなく家には帰りたくない。偶々公園で出会ったロリコン風の若い男に連れられてその家に転がり込むように現実から逃避した。やがて捜索願が出て幼女誘拐事件に発展していく。確かに世間から容易には受け入れてもらえない状況の若い男女が成長しても過去の忌まわしい事件から逃れることはできない。二人は事件から10数年たって偶然に出会い、しかし、不条理の積み重なりの中で二人だけが分かり合える僅かな安らぎを慈しむ。しかし、ネット社会ではいつしか昔の出来事が蒸し返され、築き上げたささやかな平安がもろくも崩れていく。救いようのない状況の二人を描くが不思議と温かみが感じられる作品だった。Diversity(多様性)と言えば容易いがいろんなハンディキャップを持った人が実社会で当たり前のように生きていくことはむつかしい問題だらけだということが実感させられる。

2020年10月14日水曜日

いやーな感じ

 安倍総理の引退劇が終わってヤレヤレと思ったら、後継菅内閣がこれまた、大変なこわもて内閣であることに当惑してしまう。「国家公務員たるもの内閣の方針に逆らうものは左遷する」というようなことを公言して憚らなかった菅義偉。これが彼の権力掌握法であり、実行力の源というから恐ろしい。今流でいえば「パワハラ」全開内閣だ。そして今度は日本学術会議の新会員として推薦された105人から6人を任命拒否した。学術の何たるかを知らず、現政権に楯突く学者を排除する魂胆だけが見え見え、それも法解釈を曲げて押し通す。かと思ったら中曽根元首相の政府自民党合同葬儀に対し、文科省から国立大学学長に弔旗の掲揚や黙とうをして弔意を表明するよう求める通知を出させたというではないか?中曽根なる人物がどれほどの人であったかは知らないが、一政治家の葬儀にそれほどまでのことをする真意が全く分からない。ひょっとしてある種の「踏み絵」ではないのか?安倍首相が言っていた「戦後レジュームからの脱却」を進めるためのリトマス試験紙?至る所にこのような仕掛けを作って・・・アメリカのマッカーシー旋風の再来。戦前の特高警察国家への復活劇の始まり。民主国家が危ない、こんな日本をこれからの日本の若者に残すことにはしたくない。世界に羽ばたく科学者や技術者を生み出す闊達として活動する環境からは凡そ乖離した社会を作りたがっている。「いやーな感じ」。


2020年10月4日日曜日

池井戸潤:「銀翼のイカロス」

先頃テレビドラマが終結し、「半沢ロス」などと報じられたドラマの原作が届いて読みだしたがドラマの方がどんどん先に行きネタばれ状態で読書意欲も減衰し、流石にテレビドラマの最終回はビデオに録っておいて、見ないままで原作を読み終えてから最終回を見るという苦労を背負わされた。結果、ドラマは原作を上回るドラマチックさでした。サラリーマン西部劇風ですね。ど派手で、最後は正義が勝つで安心して見られます的。それまでの展開は意外に原作に忠実でした。 

2020年10月2日金曜日

仲秋の名月

 仲秋という言葉はこの時期にしか思い浮かばない。旧暦では7月、8月、9月が秋で、その真ん中が8月なのでその15日が秋のど真ん中という意味か?その名月とは言うまでもなく15夜の満月のことを思い浮かべるが、陰暦ではおおらかだったのでしょうか真ん中の15日を指していたようで必ずしも満月ではなかったらしい。太陽暦になるとこの仲秋の名月をいつにするかというのは結構悩ましいことらしい。何故なら、昔は満月の夜に限っていたわけではなかったからですが現在では満月でなければ名月とは言えない・・・という風に考えてしまうかららしいので機械的にはいかないらしいのです。仲秋の名月が10月になるのは結構珍しいことのようです。今日、10月2日もしっかり満月に見えました。

吉田修一:「永遠(とは)と横道世之介」

 横道世之介シリーズの完結編であることはタイトルから想像がつく。これは新聞の連載で読んだものである。と言っても細切れで読んだわけではない。というのは私は新聞のデジタル版の購読者なので、こういう連載小説はHPのアーカイブスのようなところに全部保管されているのでまとめ読みが可能なので...