イギリスで2010年から2015年にわたって放映されたこのドラマは世界各国で放映され、日本ではNHKで副題として「華麗なる英国貴族の館」が付けられてBSで放映されてきた。そのシーズン6が終に先週土曜日に終わった。シーズン1は1912年からタイタニック号の悲劇が伝えられる。それから第1次世界大戦がはじまり、スペイン風邪の大流行と共に第1次世界大戦が終焉、最終回のシーズン6は1925年。時代は大きく変革し、労働者階級の台頭、貴族社会における経済的な困窮でカントリーハウス(貴族の農園とその領地の城館からなる荘園のような物)は手放すしかない、使用人も解雇せざるを得ないような社会環境に激変していく。その中でダウントンアビー家は極めて開明的て3人姉妹がそれぞれの立場で幸せを求めていく。長女メアリーは跡取り意識が強く、結婚した中流階級出身のマシューとは何かと軋轢も多かったが、次第に農園経営にも力を入れるようになるが、交通事故で死去。シーズン6では自動車レーサーのヘンリーと結婚する。次女イージスは長女と仲が悪かったり、不運が重なり中々良縁に恵まれなかった。その中でロンドンの雑誌への投稿をキッカケに出版社の経営に関わる。交際相手のバーティーが偶然親戚の侯爵位を継ぐことになり最終回で結婚する。3女シビルは使用人運転手ブランソンと駆け落ち同様の結婚し、おまけにそのブランソンはアイルランド出身でアイルランド独立を支持する社会主義に共鳴していて・・、と話題に事欠かない。シビルは産後に妊娠中毒症で急死し、その娘にもシビルと名付け、ブランソンは次第にグローリー家になくてはならない人になっていく。というようにグランサム伯爵家の人たちは時代の影響を受けて結果的には時代と共に生きることになり、当時時代についていけず多くの貴族が落ちぶれていく中で、このグランサム伯爵家は賢明にこの困難な時代を切り抜けてハッピーエンドにしてある。ダウントン・アビーの館には多くの使用人が働いている。執事カーソンは当主の絶大な信頼を得ている伝統的な名執事でその統率の下、多様な人たちがきわめて個性豊かでその人たちの生き様、その考えや行動からも時代が色濃く表現できていて飽きることなく見終わった。例えば副執事のトーマスはLGBTで悩みを抱え、侍女にはDVで苦しめられた経験者がいたり、無学の調理人助手デイジーは勉強好きでいろんな経験を積みながら徐々に世間の動向に自分の意見を述べるように成長していくなど・・・。実に面白いドラマだった。正に「ダウントン・アビーロス」状態だ。実は今年2月頃、このドラマの映画版が公開されていて観に行きたいと思っていたらコロナ禍で行けずじまいだった。惜しいことをしたと思っている。劇場版のDVDを借りてくるという手が残っているができれば映画館で観たいものだ。