2010年3月27日土曜日
北村薫:「街の灯」
北村薫、第2弾を読了。チャップリンの名作を弁士付きで見る私的な映画鑑賞などという優雅な事のできる階層が昭和の初期にも結構たくさんいたようで、その階級の中でおきる些細な出来事に実は様々な人生模様から惹起するミステリーが散らばっている。運命とか、それが人生なのか、といって片付けられていく出来事に、実際はちゃんとした理由があり、トリックが仕掛けられていて、原因と結果がちゃんと結びついている。そういったことを例の聡明なお嬢さん(私)は解き明かしていく。新しいタイプの日本のミステリーの系列なのだろうか?江戸川乱歩のようにいかにもおどろおどろした世界でもなく、突飛な設定でもなく、かといって松本清張のような社会派的な事件性の中での謎解きでもない。面白い切り口だと感じた。「虚栄の市」、「銀座八丁」、そして「街の灯」の3編からなる短編集。
2010年3月24日水曜日
西本智実
久し振りのオーケストラを聴く機会を得た。
東京交響楽団を中野ZERO大ホールで聴いた。
・スメタナの「わが祖国から~モルダウ」
・シューマン「ピアノ協奏曲」
・ドボルザーク「交響曲第9番新世界より」
ポピュラーな名曲で、気楽に楽しめた。
注目は、今秋に完成する八王子の新市民ホールの音楽総監督に就任する予定の西村智実だ。中々、スマートでかっこいい指揮者だった。どんなアレンジを見せてくれるのか、楽しみだ。ピアノ独奏に實川風という20歳の新人の起用だったが一寸荷が重いようだった。今後に期待だ。
東京交響楽団を中野ZERO大ホールで聴いた。
・スメタナの「わが祖国から~モルダウ」
・シューマン「ピアノ協奏曲」
・ドボルザーク「交響曲第9番新世界より」
ポピュラーな名曲で、気楽に楽しめた。
注目は、今秋に完成する八王子の新市民ホールの音楽総監督に就任する予定の西村智実だ。中々、スマートでかっこいい指揮者だった。どんなアレンジを見せてくれるのか、楽しみだ。ピアノ独奏に實川風という20歳の新人の起用だったが一寸荷が重いようだった。今後に期待だ。
2010年3月20日土曜日
春のデュオコンサート
ご近所のYさんが支援して開催したコンサートに。
ヴァイオリン:カレン・イスラエリアン(アルメリア出身)
ピアノ:矢崎さくら
曲目:
ベートーベン:ヴァイオリンソナタ第5番
モーツアルト:ピアノソナタK283
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
そのほか
60名程度のこじんまりした市ヶ谷の絵本塾ホールで和やかな雰囲気を楽しんだ。
ヴァイオリン:カレン・イスラエリアン(アルメリア出身)
ピアノ:矢崎さくら
曲目:
ベートーベン:ヴァイオリンソナタ第5番
モーツアルト:ピアノソナタK283
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
そのほか
60名程度のこじんまりした市ヶ谷の絵本塾ホールで和やかな雰囲気を楽しんだ。
2010年3月19日金曜日
ラジコでラジオを聴く
先日紹介したインターネットを使った民放の試験放送を聴いてみた。これは中々のものだ。パソコンの必要性がメールと検索だけに終わりかねない我ら年金世代にとってパソコンの新たな用途が開ける可能性を感じさせた。radiko.jpをアクセスすると、受信可能な放送局がずらっと一覧できる。どこかのチャネルを選択をすると別の画面が立ち上がり、簡単に現在の番組を知ることができる。音質もAMラジオに関していえば普通のラジオチューナーからより音質が安定している。FMも勿論だがAMで音質のよさが実感できる。番組表の表示機能が自分が見たときは朝の番組だけしか表示できないのは何故だろうか?現在はパソコンをつないでいるIpアドレスから地域を自動的に判断し、そのエリアの放送を受信できるようになっているそうだ。ネットでつながっているわけだから地方の放送も聞けるはずなので、その点も魅力だと思っていたが、それは現在のところできない。著作権の問題なのだろうか?インターネットでラジオが聞けるようになっている仕掛けは各局の放送をIPサイマルラジオ協議会のエンコードセンターでエンコードし、配信されているということなのだ。処理が入るので実際に聞けるのは実時間より遅くなるのは、ケーブルテレビでのテレビ放送の遅延と同じことなのだろう。時報もラジオでは聞こえるがこれはウソなので気をつけないといけない。何分というオーダーの遅れになるだろう。ひょっとしてトリックに使えるかもしれない・・・などと推理小説へのネタ提供。
2010年3月14日日曜日
塩野七生:「ローマ人の物語」その3
ローマ皇帝がパクスロマーナ(ローマの平和)実現のために実行したことは何だったか?
・最小限の軍隊の効果的な配置
・道路網の整備(迅速な移動を可能にするインフラ)
・上下水道の完備(公衆衛生の確保)、娯楽施設(大浴場と競技場)の整備
・貧しい人々への食料の無償配布(セーフティネット)
特に、道路網の整備は凄い。「全ての道はローマに通ず」という言葉はローマという都市がローマ帝国の中心だということを単に意味するのではなく、帝国内のあらゆる地域が高速道路でネットワーク化されているということを意味している。人や物資の移動が容易だということだけではなく、道路を通して辺境の情報も数日を経ずしてローマにまで伝わる情報インフラでもあったのだ。逆にローマからの情報も同じようにローマから辺境にあっという間に伝わる。かくしてあの古代に広大な帝国が僅かな人数のローマ人たちによって統治されていたのだ。今の常識でイタリア人が統治した、とはとても書けない。古代のローマ人はきっとどこかで変質して今のイタリア人になったのではないかと思ってしまう。今のイタリア人を侮辱したことになるのかも・・・、これはこの現代に生きる我々に真似ができるか、できないのではないかということを言いたかったのである。真似ぐらいできて欲しい。いや、当然あれからほとんど2000年過ぎて進歩した我々なのだから当然、当時のローマ人を凌ぐ哲学と合理的に解決案を作り出すシステムを持っているべきではないか!ダーウィンの進化論から言えばどんな解釈があるのだろうか?
・最小限の軍隊の効果的な配置
・道路網の整備(迅速な移動を可能にするインフラ)
・上下水道の完備(公衆衛生の確保)、娯楽施設(大浴場と競技場)の整備
・貧しい人々への食料の無償配布(セーフティネット)
特に、道路網の整備は凄い。「全ての道はローマに通ず」という言葉はローマという都市がローマ帝国の中心だということを単に意味するのではなく、帝国内のあらゆる地域が高速道路でネットワーク化されているということを意味している。人や物資の移動が容易だということだけではなく、道路を通して辺境の情報も数日を経ずしてローマにまで伝わる情報インフラでもあったのだ。逆にローマからの情報も同じようにローマから辺境にあっという間に伝わる。かくしてあの古代に広大な帝国が僅かな人数のローマ人たちによって統治されていたのだ。今の常識でイタリア人が統治した、とはとても書けない。古代のローマ人はきっとどこかで変質して今のイタリア人になったのではないかと思ってしまう。今のイタリア人を侮辱したことになるのかも・・・、これはこの現代に生きる我々に真似ができるか、できないのではないかということを言いたかったのである。真似ぐらいできて欲しい。いや、当然あれからほとんど2000年過ぎて進歩した我々なのだから当然、当時のローマ人を凌ぐ哲学と合理的に解決案を作り出すシステムを持っているべきではないか!ダーウィンの進化論から言えばどんな解釈があるのだろうか?
2010年3月12日金曜日
塩野七生:「ローマ人の物語」その2
何から感想を書き始めてよいのか迷ってしまう。以前に読んだところはすっかり忘れてしまっている。やはり全体を通して印象に残っている所から書いてみよう。
ローマという国は地中海のあの長靴の形をしたイタリア半島からエジプト、リビアなどのアフリカ大陸の地中海沿岸、ヨーロッパではスペイン、イングランドの半分、ライン川の南岸、ドナウ川の南岸、そしてトルコからイラク、パレスチナ辺りまでの版図を固定化して国家経営に乗り出した所謂ローマ帝国の完成でその全盛期に達する。これだけの広大な領域を一つの国家として経営して行くためには初期の共和制のような民主的な体制では意思決定が遅くて通用しなくなり皇帝制に移行していった。その効率的な政治形態としての皇帝制での皇帝の使命とはいったいどんなことだったのか?著者は繰り返しこの皇帝の使命について書いている。
ローマ帝国における皇帝の役割とは?
それは安全の確保(保障)だった。
・先ず国境線の内側での平和、安全の保障だ。蛮族の侵入を阻止する。
・国内の安全な移動を保障する
・生活の安定(衣食住)を保障する
これらを総称して、パクス・ロマーナ(ローマの平和)を守り、維持して行くのが、何よりも大事な皇帝の役割であった。
昨今の日本の政治家にこの役割の認識があるのか?何を志して政治家になったのか?尋ねたくなる。一国の首相になったら、国民のために何を考え、行動の規範にしなければならないのか、ローマ帝国の成り立ちとその発展から衰退への経過をおさらいするだけで多くの教訓を得ることができる。この本は政治家を志すものの必読書であり、必須科目であるように思える。 紀元1世紀前後のローマ皇帝はこの使命感に燃えて帝国の蛮族が跋扈する国境前線を駆け巡っていたのである。国を治めるとはどういうことを求められているのか今の日本の政治家は判っているのだろうか?質問にきちっと答えられるのだろうか?
ローマという国は地中海のあの長靴の形をしたイタリア半島からエジプト、リビアなどのアフリカ大陸の地中海沿岸、ヨーロッパではスペイン、イングランドの半分、ライン川の南岸、ドナウ川の南岸、そしてトルコからイラク、パレスチナ辺りまでの版図を固定化して国家経営に乗り出した所謂ローマ帝国の完成でその全盛期に達する。これだけの広大な領域を一つの国家として経営して行くためには初期の共和制のような民主的な体制では意思決定が遅くて通用しなくなり皇帝制に移行していった。その効率的な政治形態としての皇帝制での皇帝の使命とはいったいどんなことだったのか?著者は繰り返しこの皇帝の使命について書いている。
ローマ帝国における皇帝の役割とは?
それは安全の確保(保障)だった。
・先ず国境線の内側での平和、安全の保障だ。蛮族の侵入を阻止する。
・国内の安全な移動を保障する
・生活の安定(衣食住)を保障する
これらを総称して、パクス・ロマーナ(ローマの平和)を守り、維持して行くのが、何よりも大事な皇帝の役割であった。
昨今の日本の政治家にこの役割の認識があるのか?何を志して政治家になったのか?尋ねたくなる。一国の首相になったら、国民のために何を考え、行動の規範にしなければならないのか、ローマ帝国の成り立ちとその発展から衰退への経過をおさらいするだけで多くの教訓を得ることができる。この本は政治家を志すものの必読書であり、必須科目であるように思える。 紀元1世紀前後のローマ皇帝はこの使命感に燃えて帝国の蛮族が跋扈する国境前線を駆け巡っていたのである。国を治めるとはどういうことを求められているのか今の日本の政治家は判っているのだろうか?質問にきちっと答えられるのだろうか?
2010年3月5日金曜日
ウグイス
毎年我が家の前の林に住み着くウグイスが今年もやってきた。
1週間前辺りからチチッ 、チチッという鳴き声がしていたのだが、昨日辺りから「ホケキョ」の真似事ができるようになってきた。その前に「ホー」が付くのはあと2,3日ではないだろうか?昨日の暖かさ、そして今日は真冬並みに逆戻りだとか・・・春と冬の交代劇もそうスムースには行かないらしい。
1週間前辺りからチチッ 、チチッという鳴き声がしていたのだが、昨日辺りから「ホケキョ」の真似事ができるようになってきた。その前に「ホー」が付くのはあと2,3日ではないだろうか?昨日の暖かさ、そして今日は真冬並みに逆戻りだとか・・・春と冬の交代劇もそうスムースには行かないらしい。
2010年3月1日月曜日
北村薫:玻璃の天
玻璃(ハル)の天、想夫恋、幻の橋の3編からなる文庫本。
昭和初期のハイソの令嬢「わたし」が家庭環境と交友関係を綾にして謎解きにあたる。この「わたし」がなかなかに知的で且つ、他人特に弱者に対して向ける眼差しが優しく、嬉しい。シリーズ物をいくつか物しているらしい。小説らしい小説という範疇になるのかな?大正のロマン、デモクラシー時代から昭和になって次第に軍国の影が忍び寄ってくるそんな雰囲気を感じさせる。後学のために「玻璃」とは、ガラスのこと、または仏教では水晶のことを指すらしい。本題では明らかにガラスで良いようだ。
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