2020年12月27日日曜日

村上春樹:「猫を棄てる」父親について語るとき

 珍しく村上春樹が口述するような形で彼が理解している実像としての父について、思い出を小さな本にした。タイトルは小学低学年の時、父と共に行った行動から採ったようで、その印象が強烈に残っているのだそうだ。村上家にはいつも猫がいたようだ。小さな猫のエピソードで締めくくられていた。人には必ず歴史がある。ほとんど残されることのない歴史だ。その累々たる形としては残されない積み重ねがその国の人々の内面の風景を形作っているのだろう。それが国民性というものと繋がっているのかもしれない。

2020年12月26日土曜日

早見和真:「ザ・ロイヤルファミリー」

 日本ではロイヤルファミリーといえば皇族関係に当たるのだろうか?

明日は競馬の有馬記念、年末を彩る競馬ファンにとっては欠かせない一年の締めくくりのレースだ。この本を読み終えたのは12月23日、奇しくもそんなタイミングだった。相変わらず図書館のお世話になっているのでこのタイミングは天の配剤以外にない。

馬主に使える秘書を主人公にした物語で、将に今時こんな人がいるのだろうかと首をかしげざるをえない設定だった。ノーベル賞作家、カズオ・イシグロの「日の名残り」の執事スティーブンスと対比してしまうのは酷なことでしょうね。イギリスの貴族に仕える執事と何らかの切っ掛けで馬主になった日本の人たちの一人に仕える執事との間には大きな隔たりがある。人間の品格とは何かを追い続けもう一方で女中頭のミス・ケントンとの確執、愛を描いた作品に比べ、本作品の主人公栗栖(クリス)にも大学の同級生だった加奈子が出てくる。彼女の実家が小さな牧場主で実直な父親が誠実に競走馬を育成し市場に出している。彼女と共に夢を追いかける姿がもう少し鮮明に出てくると・・なんて思ったりして。日本の競馬界の実情を描いていて興味深いところはあるのだが、大化けする要素を多く持ったストーリーのように思ったので惜しい感じが強かった。山本周五郎賞受賞作品。

2020年12月20日日曜日

木星と土星の大接近

 先週17日から毎夕、西の夜空を睨んでいます。木星と土星が397年ぶりに大接近するのだそうです。三日月と一緒に写真に捉えられるのが17日と読み知っていたのですが、忘れていたり雲が掛かったりで結局しっかり確認できたのは昨日(12月19日)でした。肉眼でも2つの星が上下に並んでいるのが確認でき、スマホでも撮影できました。その前日は月だけしか確認できず月明かりで見えなくなったのかと思ったのですが、18時頃だったので既に山陰に隠れてしまっていた為と分かりました。いよいよ明日(12月21日)に木星と土星が最大接近します。視野角でいうと0.1度まで近づくのだそうでそうなると2つの星の分別は難しいのではないでしょうか?月を撮影できる2000mmレンズのカメラで木星を捉えようとしましたがどうしてもピントが合わず残念な結果でした。まだしばらく再チャレンジできそうなので三脚を立てて挑戦してみたいものです。

この大接近は397年ぶりの1623年7月17日以来とのことで何と、あのガリレオガリレイ(1564~1642)が59歳ごろに目撃したかもしれない、それ以来の天体ショーなのだそうです。壮大なドラマですね。


次に見られるのは60年後のことらしいです。

2020年12月13日日曜日

USA大統領選の結末

トランプ氏は大統領選の結果に固執しているものの、連邦や州の裁判所はここ5週間、トランプ氏絡みの訴訟の大半を退けている。その極めつけは、今般のテキサス州司法長官が起こした「ペンシルベニア、ミシガン、ジョージア、ウィスコンシンの4州を相手取って提起したもので、選挙結果の無効化」を求めていた。これが棄却されるとほぼ、新たに訴訟を起こす手立ては尽きることになるらしい。いくら保守派が多数を占める最高裁でもさすがに根拠のない訴訟を取り上げるわけにはいかないということだろう。フィナンシャルタイムズの予測(11月3日)通りの推移を辿っている。

 

2020年12月7日月曜日

道保川公園(12月6日)

 相模原市に引っ越してから丸3年が過ぎて相当馴染んできたと思っているが、この広い街の色んな行事、施設、名所など中々頭にかっちりと入っていない。

しかし、水彩スケッチをやっているお陰とこの新コロナ禍で人ごみに出掛けることを避けるようになって、近在のスケッチポイントを求めての行動が増えている。昨日は穏やかな日差しの下、冬枯れの水辺の佇まいを求めて道保川公園に出掛けた。相模原の台地が相模川に向けて落ち込んでいく段丘のような地形で武蔵野台地の湧き水の出る崖線と似たような地形で絶えることなく湧き出る小川が公園の中を縫っていて野鳥も多く、バードウォッチャーが大勢集まってくることでも知られている。道保川公園は暖かな今年の気温から期待した冬枯れには程遠く、まだまだ秋の気配が強く残っていた。




2020年12月3日木曜日

三秋 縋(みあきすがる):「恋する寄生虫」

 2021年 映画『恋する寄生虫』原作小説。


失業中の青年・高坂賢吾と不登校の少女・佐薙ひじり。二人は、社会復帰に向けてリハビリを共に行う中で惹かれ合い、やがて恋に落ちる。しかし、幸福な日々はそう長くは続かなかった。彼らは知らずにいた。二人の恋が、“虫”によってもたらされた「操り人形の恋」に過ぎないことを―。・・・ある紹介の記事だ。

高坂健吾は潔癖症で普通の社会生活が続けられずに失業中。佐薙ひじりは視線恐怖症で他人の顔をまともに見ることができずに不登校になってしまった17歳の高校生。この2人の落ちこぼれがあるきっかけでリハビリを一緒に行う羽目になって物語は始まる。ある寄生虫が介在する何とも不思議なお話し。

2020年12月1日火曜日

半影月食(11月30日)

 半影月食というのがあるというので待機した。天気も快晴だったが、その「半影」というのがどうもはっきりとは確認できなかった。どう見ても普通の満月・・・?!左上部が少しだけ暗く映っているのがそういうことなのでしょうか?



吉田修一:「永遠(とは)と横道世之介」

 横道世之介シリーズの完結編であることはタイトルから想像がつく。これは新聞の連載で読んだものである。と言っても細切れで読んだわけではない。というのは私は新聞のデジタル版の購読者なので、こういう連載小説はHPのアーカイブスのようなところに全部保管されているのでまとめ読みが可能なので...