2008年に実際に起こったテロ事件を土台にした映画だった。
無慈悲に、無機質的に人が次々と射殺されていく・・・テロというのはこういうものなのでしょうね。その場に居合わせてるような疑似体験、したくはありませんがさせられてしまいました。この映画の特徴はテロリストたちの心のうち、本当の首謀者に洗脳されて「ジハード(聖戦)」という言葉に踊らされていく無知な若者たちの姿が結構説得力を持って描かれていることだ。「無知と貧困」がテロリストを生んでいるという一面を鋭く訴えている。首謀者がテロリストたちに囁く。「そこにいる人間が君たちを犠牲にして繁栄を愉しんでいるのだ。皆、君たちの敵だ。一人残らず殺すのだ」。今盛んに言われている格差問題の行く末を暗示しているのかもしれない。そう考えると他人事とは言えない。日本が抱えている問題もアメリカや中国が抱えている問題も根っこは同じかもしれない。そういう意味では20世紀の民主主義賛歌の時代は終わったのかもしれない。見せかけだけだった平等、平和、一億総中流といった言葉が上面だけのもので底流に抱えていた矛盾に目を覆っていた、今そのパンドラの箱が開いてしまったのかも・・・。新しい人間社会の規範を探し求めてあがき始めてるのが現在、21世紀の人間社会なのかもしれない。
話変わってこの映画を観ていて、昔、インドに社用で出張したことを思い出した。ソフトウエア産業の未来を探る業界のツアーだったので行く先々の宿泊ホテルは高級なところが多かった。ムンバイはインドの最初の宿泊地だったが、その泊まったホテルがムンバイ最高級ホテル「タージマハル・ホテル」だった。このホテルで2008年にこの映画で描かれたテロ事件が起きたのだった。ビックリ仰天!映画を観ていて思い出した。それまで全く予感もしていなかった。ムンバイに行ったことも思い出してはいなかった。このテロ事件もそういう意味ではほとんど記憶に止まっていない。それには少し事情があるのだがそのことについては今は触れたくはない。時が来れば書けるかもしれない。