2013年1月30日水曜日
地方公務員の退職
3月以降、退職金が減額支給される法律施行を目前にして、前倒しの早期退職が目立ち、マスコミで話題にしている。特に先生が3学期目前で退職するとは何事か!という、聖職という言葉まで出してのパッシングですが、何か違和感を感じます。元々学期末で止められては困ることは先刻わかっていることでしょうから施行日を3月1日にすることに不自然な意図を感じます。先生とてサラリーマンですから、みすみす手取り額を減額されるのを承知で甘んじるかといえば、そうでない人が出るのは当然のことでしょう。民間では早期退職には割増金を付けたりまでします。他方、自己都合退職では退職金が減額されます。そういう仕組みすら設定しない中で、退職金の減額だけを決めて実行しようとする配慮のなさに情けなさを感じるのは私だけでしょうか?
2013年1月29日火曜日
葉室麟:「乾山晩愁」(けんざんばんしゅう)
葉室の小説も割と手にすることが多い。歴史小説というジャンルになるのでしょうか?史実の襞を取り出して見せてくれるのですが、文章全体に格調の高さを感じて快いのです。今回のものは安土桃山時代から江戸時代にかけて、活躍していた絵師たちの心情を描いています。当時の絵師たちは時の権力者たちが建設する城郭や茶室や部下への恩賞、公家への贈答など色々な場面で抱えている絵師たちに描かせたものを使い、絵師たちは時の権力者にすり寄ることで、生活を安定させ、己の作品を世に送り出すことができる。その中で、己を曲げたり、おもねったりして、権力者と共に自己表現をしていく。本書では、尾形乾山(尾形光琳の弟で陶芸士)、狩野永徳、長谷川等伯、狩野雪信(江戸時代の狩野派、女流絵師)、英一蝶(江戸、綱吉時代の狩野派異端の絵師)などを取り上げて、時代と共に、あるいは時代に流され、それでも絵を描き続けた絵師たちを描いていて興味深かった。とりわけ先の賞で安部竜太郎の受賞作「等伯」を読んだ後なので、狩野派と長谷川派などの因縁もある程度、予備知識があって面白く読みました。あとがきに著者は「修羅」という言葉をキーワードにして文筆家より絵や茶器を生業とした人たちに「修羅」を観たと語っている。そしていづれ、文筆家たちの修羅についても触れようという思いを感じ取りました。期待したいところです。
2013年1月27日日曜日
先週のニュースから
1.アルジェリアでのテロ事件
アルジェリアの石油関連施設をアルカイダが襲撃し、数百人を人質にして立て籠もり、隣国マリへの攻撃中止を取引しようとしたが、アルジェリア政府は拒否してアルカイダを攻撃、日本人17名が事件に巻き込まれ、うち10名が死亡した。テロ集団に殺されたのか、アルジェリア軍の攻撃の巻き添えを食ったのかは解らない。欧米諸国のテロへの対処方法は日本のそれとは根本的に違う。名前通りの企業戦士だった。自分がその立場でもやはり、現地に赴任したと思う。どこでどういう形で事件に巻き込まれたるするか?判らないものです。
2.昭和の大横綱「大鵬」が亡くなった。
昭和15年生まれは、自分と同学年なのでした。知りませんでしたがその圧倒的な強さは記憶にも鮮明です。大鵬の強さには感心しながらも、その時もう一人とても強い横綱がいました。「柏戸」です。大鵬は柔軟な取り口なのに対し、柏戸は剛直な強さを見せる横綱でしたが、大鵬にはいま1歩届かなかったようで、大鵬の優勝回数32回はその後破られることはない。その柏戸は5回の優勝回数しかありませんが、大鵬と優勝を千秋楽まで競ったことが5回あり、そのうち4回は大鵬が柏戸を制して優勝を果たしたのです。仮定の話ですが、これがすべて柏戸の勝利になったとすると、柏戸の優勝回数は9回になり、大鵬の優勝回数は28回になるというわけです。大鵬がいなければ柏戸の優勝回数も相当に伸びたはずで、運の悪い時に横綱になったものだと、柏戸に同情的な気持ちが働いたことを思い出します。何だか2番手に思いが行ってしまうところが自分にはあるようです。「柏鵬時代」といわれて大相撲人気絶頂期を築いた所以でもありますね。
アルジェリアの石油関連施設をアルカイダが襲撃し、数百人を人質にして立て籠もり、隣国マリへの攻撃中止を取引しようとしたが、アルジェリア政府は拒否してアルカイダを攻撃、日本人17名が事件に巻き込まれ、うち10名が死亡した。テロ集団に殺されたのか、アルジェリア軍の攻撃の巻き添えを食ったのかは解らない。欧米諸国のテロへの対処方法は日本のそれとは根本的に違う。名前通りの企業戦士だった。自分がその立場でもやはり、現地に赴任したと思う。どこでどういう形で事件に巻き込まれたるするか?判らないものです。
2.昭和の大横綱「大鵬」が亡くなった。
昭和15年生まれは、自分と同学年なのでした。知りませんでしたがその圧倒的な強さは記憶にも鮮明です。大鵬の強さには感心しながらも、その時もう一人とても強い横綱がいました。「柏戸」です。大鵬は柔軟な取り口なのに対し、柏戸は剛直な強さを見せる横綱でしたが、大鵬にはいま1歩届かなかったようで、大鵬の優勝回数32回はその後破られることはない。その柏戸は5回の優勝回数しかありませんが、大鵬と優勝を千秋楽まで競ったことが5回あり、そのうち4回は大鵬が柏戸を制して優勝を果たしたのです。仮定の話ですが、これがすべて柏戸の勝利になったとすると、柏戸の優勝回数は9回になり、大鵬の優勝回数は28回になるというわけです。大鵬がいなければ柏戸の優勝回数も相当に伸びたはずで、運の悪い時に横綱になったものだと、柏戸に同情的な気持ちが働いたことを思い出します。何だか2番手に思いが行ってしまうところが自分にはあるようです。「柏鵬時代」といわれて大相撲人気絶頂期を築いた所以でもありますね。
2013年1月23日水曜日
凄い詩人たち
1月20日に柴田トヨさんが亡くなられました。101歳だったそうです。90歳から詩を書きはじめ、98歳で「くじけないで」を初出版、もう200万部近い人が買って読んでいるのだそうです。新聞で訃報に接し、経歴を読むまで私は全く知りませんでした。100歳で「100歳」を記念出版され、NHKでも2回にわたって取り上げられたそうです。
そしてもう1人、90歳の詩人。加島祥造さんの詩が紹介されていました。「受けいれる」です。最愛の人を亡くされて辿りついた言葉だそうです。東日本大震災で被災された人たちにも影響を与えているかもしれませんね。理不尽にも幸せを奪われた人みんなに共感を呼んでいるのでしょうね。
同時代の先人たちには凄い人達がいるものです。これからこの人たちのものも手に取ってみようと思いました。
そしてもう1人、90歳の詩人。加島祥造さんの詩が紹介されていました。「受けいれる」です。最愛の人を亡くされて辿りついた言葉だそうです。東日本大震災で被災された人たちにも影響を与えているかもしれませんね。理不尽にも幸せを奪われた人みんなに共感を呼んでいるのでしょうね。
同時代の先人たちには凄い人達がいるものです。これからこの人たちのものも手に取ってみようと思いました。
2013年1月17日木曜日
芥川賞と直木賞
この選考は年2回ある。一般的な文学賞は年1回ですが、何故はここは2回なのです。営業政策なのでしょうか?芥川賞は新人発掘という大義名分を立てていますから年2回は良いのかもしれませんが、直木賞のような大衆文学の選考は年1回で厳選してほしいような気もします。一読者の勝手な言い分ですけど・・・。今年の芥川賞は黒田夏子さん、75歳と聞いてびっくり。しかし、略歴を見るともう70年も書いているそうです。それで新人というのも如何なものかとも思いましたが、ケチをつける気はありません。芥川賞ではここ数年、あまり感心したことはありません。というか理解不足でついて行けてないのです。良さを理解できないというか感覚的に合わないのです。前衛的なところに重きを置いているのでしょううか?
直木賞は安部竜太郎と朝井リョウ。安部はこの間まで日経新聞に連載していた「等伯」で、朝井は「何者」。「等伯」は連載で読みましたが、読ませる作だなぁ・・・・と思っていたので何となく合点がいきました。朝井は23歳、平成生まれの初受賞という快挙のようです。前作の「桐島、部活・・・」は先ごろ映画化されて話題になった作品でもあり一度読んでみようかなと思わさせられます。
直木賞は安部竜太郎と朝井リョウ。安部はこの間まで日経新聞に連載していた「等伯」で、朝井は「何者」。「等伯」は連載で読みましたが、読ませる作だなぁ・・・・と思っていたので何となく合点がいきました。朝井は23歳、平成生まれの初受賞という快挙のようです。前作の「桐島、部活・・・」は先ごろ映画化されて話題になった作品でもあり一度読んでみようかなと思わさせられます。
2013年1月15日火曜日
佐々木譲:「カウントダウン」
この人のものも随分読んでしまいました。内容をあまり選ばず読んでいます。北海道警察シリーズはほとんど終わり、後はロシアとの諜報物が何冊か残っています。今回は北海道の夕張に近接する小都市の財政破たんに伴って、1年生市会議員が思いがけずも市長選に挑戦し勝利するまでの選挙戦の話でした。選挙に付き物の中傷合戦やその克服といったドラマもありましたが、その勝利の先にさらに図らずも国会議員さえ視野に入ってくるアメリカンドリームのような結末で、世の中案外こんなものかもしれないと思わせるようなものでした。
2013年1月14日月曜日
映画:「立川談志」
懐かしいお顔をデジタルの映画でまじまじと拝見しました。
久し振りの映画です。昨日の天気予報では低気圧が大荒れとなって関東地方にもやってくると報じていましたが、まぁそれほどの事もないのではないかと高をくくり、かねてから調べてあった昭島のデジマックスというシネマコンプレックスに行こうと決めていました。この時期、この映画をやっているところはこの近辺ではここしかありませんでしたので。しかし、最近の天気予報は正確ですね。朝9時を過ぎると、雨が大粒のみぞれになり、直ぐに雪にと変わりました。大きな雪片は昔、牡丹雪と言っていたもので、よく積もります。あっという間に10cm程度にまでなってしまいました。流石にどうするか迷ってしまいましたが、車はスタッドレスタイヤで装備しているし、四駆はスリップにも強いし、大きな通りを選んでいけば問題なかろうと、勇を鼓して出掛けました。
「立川談志」は12:30と17:30の2回しか上映されません。物好きはどのくらいいるのかと、これも興味津々でしたが、流石に入場者は20名程度と少なかったです。逆に20数名もいるのかと感心もしたり。以前も書きましたが、談志の落語論、「業」、「江戸の風」(ここまでは判る)や判ったようで解らない、「イリュージョン」を熱っぽく語っている生前の姿に感慨を新たにしました。そして後半は収録されていた2008年の三鷹での名演「芝浜」をたっぷり見せて貰いました。気持ちの入った熱演であり、談志らしい新しい解釈が入っていて堪能できました。前半の「ラクダ」に見る「業の深さ」とその割に明るい話になる落語の凄さも実感できました。古き江戸の落語の良さを現代に繋いだ名人でした。
久し振りの映画です。昨日の天気予報では低気圧が大荒れとなって関東地方にもやってくると報じていましたが、まぁそれほどの事もないのではないかと高をくくり、かねてから調べてあった昭島のデジマックスというシネマコンプレックスに行こうと決めていました。この時期、この映画をやっているところはこの近辺ではここしかありませんでしたので。しかし、最近の天気予報は正確ですね。朝9時を過ぎると、雨が大粒のみぞれになり、直ぐに雪にと変わりました。大きな雪片は昔、牡丹雪と言っていたもので、よく積もります。あっという間に10cm程度にまでなってしまいました。流石にどうするか迷ってしまいましたが、車はスタッドレスタイヤで装備しているし、四駆はスリップにも強いし、大きな通りを選んでいけば問題なかろうと、勇を鼓して出掛けました。
「立川談志」は12:30と17:30の2回しか上映されません。物好きはどのくらいいるのかと、これも興味津々でしたが、流石に入場者は20名程度と少なかったです。逆に20数名もいるのかと感心もしたり。以前も書きましたが、談志の落語論、「業」、「江戸の風」(ここまでは判る)や判ったようで解らない、「イリュージョン」を熱っぽく語っている生前の姿に感慨を新たにしました。そして後半は収録されていた2008年の三鷹での名演「芝浜」をたっぷり見せて貰いました。気持ちの入った熱演であり、談志らしい新しい解釈が入っていて堪能できました。前半の「ラクダ」に見る「業の深さ」とその割に明るい話になる落語の凄さも実感できました。古き江戸の落語の良さを現代に繋いだ名人でした。
2013年1月7日月曜日
ニュー・イヤー・コンサート
高校時代の同級生4人組によるこのところ恒例になってきたニューイヤーコンサート。去年は新宿の新国立劇場だった。今年はサントリーホールで、秋山和慶指揮する東京交響楽団の演奏でした。曲目がニューイヤーコンサートとしては割と重めでした。この時期ではウィーンのニューイヤーコンサートに習って、ワルツやポルカといった軽い短い曲目が並ぶのかと思っていたら、ポピュラーですが交響曲やピアノ協奏曲を並べた豪華版でした。
ヨハンシュトラウス:美しき青きドナウ
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 ピアノ:中村紘子
ドボルザーク:交響曲第9番「新世界より」
という曲目でした。どれも良く聞いていてなじみのメロディーがあふれ出てくる音の洪水の中、新春に相応しい組み合わせでした。
終わった後、近くの日枝神社に初詣でして、そのあと中華料理を食しました。キャピタル東急の 「星が岡」という高級中華料理店でした。普段足を踏み入れる機会などないところでした。こんなことを続けられる幸せを噛みしめ合いました。
ヨハンシュトラウス:美しき青きドナウ
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 ピアノ:中村紘子
ドボルザーク:交響曲第9番「新世界より」
という曲目でした。どれも良く聞いていてなじみのメロディーがあふれ出てくる音の洪水の中、新春に相応しい組み合わせでした。
終わった後、近くの日枝神社に初詣でして、そのあと中華料理を食しました。キャピタル東急の 「星が岡」という高級中華料理店でした。普段足を踏み入れる機会などないところでした。こんなことを続けられる幸せを噛みしめ合いました。
2013年1月3日木曜日
迎春
穏やかな日差しが続く新春です。と書き始めて去年も同じ書き出しではなかったかと気になりはじめました。すると、さて、あの大震災のあった2011年の新年には何を書いたかと気になり遡って見てみました。
2011年も穏やかな年明けだったようです。しかし、山陰地方や東北での大雪の被害から停電について注目して書いていました。照明、暖房、厨房、ICTのすべてが電気なくしては全く機能しないのでここの部分の危機管理について心配していました。「テロの狙い目も発電所や送電線だというのも当然でしょうね。これからの時代、危機管理の質が問われそうですね」と結んでいました。テロではなく大地震が来て東北の太平洋側に壊滅的な被害をもたらしました。そして去年2012年の初めは1月2日に上野の国立博物館に「清明上河図(せいめいじょうがず)巻」を見に行っています。これを見る人の列に驚き、170分待ちで観ることができたこと、その時の観客のお行儀の良さに驚き、東北の人々のあきらめにも似た穏やかさに共通点を感じ取っていました。あの日は午前中国立博物館前の奏楽堂をスケッチして水彩の描き初めもしたのでした。
今年は私は昨日今日と続けてテニスコートに通いました。短時間でしたが楽しく健康テニスを楽しみました。所属しているクラブには82歳の元気な方がいまして、今日もその方の健康の秘訣をお聞きしました。兎に角、少しずつでも良いので毎日体を動かす、バランス良く食事をする、他人と話をする、の3点だと言っていました。頭も体も働かせ続けるという事でしょうか?五体満足の状態なら少しでもそういう生活を続けられるよう努力したいものです。明日はスケッチの描き初めをしたいなぁ。
2011年も穏やかな年明けだったようです。しかし、山陰地方や東北での大雪の被害から停電について注目して書いていました。照明、暖房、厨房、ICTのすべてが電気なくしては全く機能しないのでここの部分の危機管理について心配していました。「テロの狙い目も発電所や送電線だというのも当然でしょうね。これからの時代、危機管理の質が問われそうですね」と結んでいました。テロではなく大地震が来て東北の太平洋側に壊滅的な被害をもたらしました。そして去年2012年の初めは1月2日に上野の国立博物館に「清明上河図(せいめいじょうがず)巻」を見に行っています。これを見る人の列に驚き、170分待ちで観ることができたこと、その時の観客のお行儀の良さに驚き、東北の人々のあきらめにも似た穏やかさに共通点を感じ取っていました。あの日は午前中国立博物館前の奏楽堂をスケッチして水彩の描き初めもしたのでした。
今年は私は昨日今日と続けてテニスコートに通いました。短時間でしたが楽しく健康テニスを楽しみました。所属しているクラブには82歳の元気な方がいまして、今日もその方の健康の秘訣をお聞きしました。兎に角、少しずつでも良いので毎日体を動かす、バランス良く食事をする、他人と話をする、の3点だと言っていました。頭も体も働かせ続けるという事でしょうか?五体満足の状態なら少しでもそういう生活を続けられるよう努力したいものです。明日はスケッチの描き初めをしたいなぁ。
常盤新平:「遠いアメリカ」
2冊続けて、自伝的青春物語でした。
青春時代の鬱々とした出口のないもやもやした気分が全編に溢れる好感の持てる佳作でした。アメリカ文学の翻訳家として身を立てたいとの思いはあるものの、英語力や才能に自信もなくまた、取っ掛かりもなく、まして裕福でもない親のすねをかじりながら鬱勃とした日々を送る作者の自伝的青春小説でしたが、この前に読んだものと比べると、心情的には同感できる部分の多い本でした。年代的には自分より10年ほど年長者でしょうか、昭和30年代前半の時代の貧しい時代、東京にはまだ路面電車が沢山走っていて、学生向けの喫茶店や顔を見て何を頼んでも料金がいつも同じお寿司屋さんがあったりして「3丁目の夕日」のような雰囲気も伝わってきました。現代アメリカ文学のスラングに首をひねり、作中に出てくる”クリネックス”や”ピザや”ハンバーガ”っていったいどんなものなのだろう?コーラもやっと飲んでみたけど、その内、ピザも日本で食べられるようになるんだろうか?そもそもそんな理解のレベルで翻訳家になれるのだろうか?無理だよね、といった感覚で、でもアメリカ映画でゲイリー・クーパーやスージー・パーカー(とてもチャーミングらしいけど自分は知らない女優さん)に感激したりしている様子が面白い。当時の学生が抱くアメリカへの憧れが色濃く文面の到るところから立ち上る。憧れるが「遠いアメリカ」なのです。先輩の翻訳家に紹介されてできた新劇劇団の恋人に「あなたならきっと大丈夫よ」励まされ、少しづつ翻訳の仕事が廻ってくるようになるまでの4年間を4つの短編にまとめ、4編で1つの物語に完結していました。「遠いアメリカ」、父親との関係に主体をおいた{「アル・カポネの父たち」、母親との関係に主体をおいた「おふくろとアップル・パイ」、翻訳家として初めての出版となる本に出てくる服の色と重ねあわせた「黄色のサマー・ドレス」の4編だ。最初の「遠いアメリカ」と最後の「黄色のサマー・ドレス」が良かった。
青春時代の鬱々とした出口のないもやもやした気分が全編に溢れる好感の持てる佳作でした。アメリカ文学の翻訳家として身を立てたいとの思いはあるものの、英語力や才能に自信もなくまた、取っ掛かりもなく、まして裕福でもない親のすねをかじりながら鬱勃とした日々を送る作者の自伝的青春小説でしたが、この前に読んだものと比べると、心情的には同感できる部分の多い本でした。年代的には自分より10年ほど年長者でしょうか、昭和30年代前半の時代の貧しい時代、東京にはまだ路面電車が沢山走っていて、学生向けの喫茶店や顔を見て何を頼んでも料金がいつも同じお寿司屋さんがあったりして「3丁目の夕日」のような雰囲気も伝わってきました。現代アメリカ文学のスラングに首をひねり、作中に出てくる”クリネックス”や”ピザや”ハンバーガ”っていったいどんなものなのだろう?コーラもやっと飲んでみたけど、その内、ピザも日本で食べられるようになるんだろうか?そもそもそんな理解のレベルで翻訳家になれるのだろうか?無理だよね、といった感覚で、でもアメリカ映画でゲイリー・クーパーやスージー・パーカー(とてもチャーミングらしいけど自分は知らない女優さん)に感激したりしている様子が面白い。当時の学生が抱くアメリカへの憧れが色濃く文面の到るところから立ち上る。憧れるが「遠いアメリカ」なのです。先輩の翻訳家に紹介されてできた新劇劇団の恋人に「あなたならきっと大丈夫よ」励まされ、少しづつ翻訳の仕事が廻ってくるようになるまでの4年間を4つの短編にまとめ、4編で1つの物語に完結していました。「遠いアメリカ」、父親との関係に主体をおいた{「アル・カポネの父たち」、母親との関係に主体をおいた「おふくろとアップル・パイ」、翻訳家として初めての出版となる本に出てくる服の色と重ねあわせた「黄色のサマー・ドレス」の4編だ。最初の「遠いアメリカ」と最後の「黄色のサマー・ドレス」が良かった。
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横道世之介シリーズの完結編であることはタイトルから想像がつく。これは新聞の連載で読んだものである。と言っても細切れで読んだわけではない。というのは私は新聞のデジタル版の購読者なので、こういう連載小説はHPのアーカイブスのようなところに全部保管されているのでまとめ読みが可能なので...
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2017年の夏、水をやり過ぎたのかみるみる萎れていった鉢。どうなることかと元気そうな株以外は全部、泣く泣く外して生き永らえた。相模原に引っ越して気長に付き合ってきた甲斐があって去年夏ごろから生気が帰ってきていた。水溶液の肥料などをやりながら時に日光浴させてきたら3年振りに開花した...
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NHKカルチャーセンター主催の水彩画講座(2時間*3回)の第一回を受講しました。これまで無料のZOOMアプリを使って家族やNPOのリモート会議を何回か体験してきました。また、NPOで開催しているシルバーの人たちに向けてZOOM会議の受講の仕方、主催の仕方などの講義をしてきました...